2016/04/26 09:51:16 テーマ:歴史・文化・伝統
昨日4月25日、文化庁が「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」を日本遺産に認定したと発表があった。誠に喜ばしいことだと思う。
「日本遺産」認定にかかわる事業の目的は、「地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」に認定するとともに,ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内外に戦略的に発信することにより,地域の活性化を図る。」(文化庁)というものだそうだ。
今回は全国42都府県から67件の応募ストーリーのうち19件を選んだということだ。「日本遺産」認定は、昨年度より始まった事業で、昨年度の津和野に続き、2年連続で県内から日本遺産が選ばれた。
たたらは今では「天下無双」の島根の財産だ。今回の認定は地域のまちづくりや観光地づくりにとって大きな起爆剤となりうる。
まず最初に、地域のみなさんが、改めて「たたら」や「たたら」が生んできた優れた鉄、生業や産業、歴史、伝統、文化、生活、習慣、そこに生まれ育った人々の気質、自然との共生スタイルなどに思いを馳せ、その良さを認識することから始めたい。
文化庁の発表資料によるその出雲國たたら風土記のストーリの概要は以下のとおり。
「日本古来の鉄づくり「たたら製鉄」で繁栄した出雲の地では,今日もなお世界で唯一たたら製鉄の炎が燃え続けています。たたら製鉄は,優れた鉄の生産だけでなく,原料砂鉄の採取跡地を広大な稲田に再生し,燃料の木炭山林を永続的に循環利用するという,人と自然とが共生する持続可能な産業として日本社会を支えてきました。また,鉄の流通は全国各地の文物をもたらし,都のような華やかな地域文化をも育みました。今もこの地は,神代の時代から先人たちが刻んできた鉄づくり千年の物語が終わることなく紡がれています。」
なお、認定基準は以下のとおりということ。(文化庁)
○ ストーリーの内容が,当該地域の際立った歴史的特徴・特色を示すものであるとともに我が国の魅力を十分に伝えるものとなっていること。
※ストーリーについては,以下の観点から総合的に判断する。
・興味深さ(人々が関心を持ったり惹きつけられたりする内容となっているか。)
・斬新さ(あまり知られていなかった点や隠れた魅力を打ち出しているか。)
・訴求力(専門的な知識がなくても理解しやすい内容となっているか。)
・希少性(他の地域ではあまり見られない稀有な点があるか。)
・地域性(地域特有の文化が現れているか。)
○ 日本遺産という資源を活かした地域づくりについての将来像(ビジョン)と,実現に向けた具体的な方策が適切に示されていること。
○ ストーリーの国内外への戦略的・効果的な発信など,日本遺産を通じた地域活性化の推進が可能となる体制が整備されていること。
以上