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島根県議会における主な質問(平成26年(2014年)9月定例会一般質問)

平成26年(2014年)9月定例会(一般質問)

1.安来節の県文化財指定について

2.県内消防団の支援について

3.10月18日の原子力防災訓練について

4.県政運営について

 

1.安来節の県文化財指定について

(かもと)議席番号2番嘉本でございます。一般質問に入らせていただきます。

「安来千軒 名の出た所 社日桜に十神山」、七七七五調のこの歌に代表される安来節は、安来市民はもとより島根県内、日本国内の人々に親しみを持って受け入れられてきました。

安来節の起源は、北前船が頻繁に日本海を往来した江戸時代にさかのぼるとされています。寄港地では船乗りを迎える町が発達し、さまざまな唄が歌われるとともに、その唄は船乗りの手で、また別の港に伝えられていきました。当時、米や鋼の積出港として栄えた安来港も、全国津々浦々を回る船の寄港地で、北前船で境港にもたらされた唄が、さんこ節として姿を変え、さらに出雲節を経て安来節が生まれたと言われるように、全国からさまざまな影響を安来節は受けてきました。安来節は全国の民謡のるつぼの中から生まれたのであります。北前船を通じて、全国各地の民謡の文化、生活文化をたどる上で、安来節の歴史的、文化的意義は大きいものがあると考えます。

また、安来節が日本の大衆演芸史に残した足跡も偉大なものがあります。「わたしゃ出雲の 安来の生まれ 子守りうたから 安来節」という歌がありますが、明治の時代、子どものころから安来節を歌っていた渡部お糸が、安来市の荒文旅館において文部省の役人の前で安来節を披露し、できばえが抜群であったのに役人が驚き、郷土芸能として保存するよう激励したということがきっかけで、渡部お糸が安来節とともに頭角をあらわしたそうであります。

大正5年、東京蓄音機株式会社や鷲印レコードがお糸の安来節のレコードを制作したことにより、安来節が全国に普及、流行し、大正6年から、渡部お糸の一座が東京鈴本亭などで興行を始め、首都の人たちに披露されたということであります。そのお世話をされた人たちの中に、後の総理大臣若槻禮次郎氏もおられたということであります。

大正8年には、大阪吉本興業が寄席の不況打開策として安来節を採用し、道頓堀で開幕し、大成功をおさめたということをきっかけに、東京と大阪で安来節の専門館が誕生したほどでございます。このころ、渡部お糸は全国各地はもとより、朝鮮半島、台湾、満州まで巡業を行っていました。お糸の成功に刺激を受けて、多くの出雲、伯耆の芸人が一座を組んで、関西や浅草に出ていきました。各劇場は競って舞台に取り入れ、大正10年ごろの興行界は安来節一色に染まったそうであります。

昭和になってからも、戦前、戦中には病院、前線などへの慰問をする役割を安来節は果たしました。戦後になってから、一時NHKのど自慢大会などのテレビ番組で安来節の出演が盛んとなり、多くの民謡ファンの支持を受けました。今でも安来市内では安来節演芸館を中心に安来節の公演が日常的に行われ、毎年8月には安来節全国優勝大会が開催され、全国から安来節のつわものが集い、そのわざを競います。そして、市内外を問わず、安来節は余興として振る舞われ、社会の潤滑剤、安定剤として、今もその役割を果たしています。

安来節の興隆の背景には何があったのでしょうか。民謡は古くから、農業などの重労働から心や体を癒やす余興として長く支持されてきました。また、富国強兵や戦後経済成長の時期においては、農山村出身の労働者の人たちが都市に移り住み、大都市の人口の大きな部分を占め、忙しく働きながら日本の社会経済の屋台骨となる中で、ふるさとに対する思いを温め守り、日々のつらい仕事や雑事から解放してくれたものの一つが民謡であったと思います。その代表として、一人の図抜けた才能の持ち主、初代渡部お糸によって全国に広められたのが安来節だったと言えないでしょうか。安来節の歌詞をごらんになれば、日常の出来事やそれに対する思いを取り上げたもの、身近な自然や歴史、伝統や文化に対する賛美など、私たちの生活を題材にしたものがとても多く、それが共通の要素として全国の人たちに受け入れられたのだと思います。安来節は地域の人とともにありながら、同時に全国の人たちとともにあったのです。

今から103年前、明治44年に安来節保存会が設立されました。今では全国に65支部が存在し、会員数は約3,700名を数えます。同保存会は、先ほど紹介した安来市での安来節全国優勝大会の開催や安来節演芸館での常設公演はもとより、年の初めの歌い初め会、桜まつり、お糸まつりや、安来節の修業をする皆さんの講習会や研修会、国内外の公演、国内の全国民謡大会への出場など積極的に行い、正調安来節の保存、継承に努めておられます。

「花の安来で 生まれて育ち 今じゃ世界の 安来節」という歌もあります。平成元年から、国外の公演だけを見ても、平成3年ニューヨーク島根文化展アメリカジャパンウイーク、平成6年環日本海国際親善サイクリングinウラジオストク、平成12年まつりinハワイ、平成12年韓国密陽市親善訪問、平成18年パリ公演、平成19年のドイツ公演、ハワイ公演があります。

平成23年には安来節保存会創立100周年記念式典を開催し、市内外の皆さんにより100周年を祝いました。ことしは初代渡部お糸60回忌追悼記念祭も開催されました。ちなみに初代お糸は、昭和23年、島根県知事より安来節の振興並びに観光宣伝の功労者として第1回文化功労章を受け、現在の家元4代目お糸は、平成24年に文化庁より地域文化功労者表彰を受けておられます。

こうした経緯を踏まえ、ことし7月に、安来節保存会が中心になって保存、継承している正調安来節が安来市の無形文化財に指定されたところであります。このことについてどのように受けとめておられるのか、知事と教育長にお伺いいたします。

(知事)最初は、安来市が正調安来節を市無形文化財に指定したことについて、どのように受けとめているかという質問であります。

議員が御紹介になりましたように、民謡はどこでも古くから、生活の中であるいは仕事の中で歌われてきたものでありまして、特に古い時代におきましては、つらい仕事あるいは重労働から体を癒やしたり、あるいは集落の会合などでも慰安として歌われてきたものでありまして、人々の心の中に残っておって、決して捨てられない文化の一部を形成をするようになっているというふうに思います。そういう意味におきまして、安来市が今般、正調安来節を安来市無形文化財に指定されたということは時宜を得たものだというふうに思います。地元での保存、伝承活動がますます盛んになりまして、県内外でさらに安来節が人々に愛好され、普及していくことを期待する次第であります。

(教育長)正調安来節は、北前船寄港地の安来周辺で船乗りに歌われた唄から発生し、その後、大衆芸能として発展してきたものであります。このたび安来市は、その歴史的背景や歌唱法、伴奏などの特質を評価して、市の無形文化財に指定されたと伺っております。これにより、今後、正調安来節の保存や継承、普及について、一層の振興が図られていくものと受けとめているところです。

(かもと)また、島根県が正調安来節を文化財に指定することについてどのように考えられるか、お伺いいたします。

(教育長)県が文化財の指定を行う場合には、大学の研究者や市町村などの調査成果に基づき、県や県文化財保護審議会委員が調査検討し、審議会での答申に基づいて県教育委員会が指定することとしています。県では、これまで安来節などの民謡を文化財指定したことがないため、まず県文化財保護審議会委員や専門家と相談しながら、民謡の県文化財指定について研究してみたいと考えています。その上で、正調安来節について県指定に値するかどうかの調査研究を進めてまいります。以上です。

2.県内消防団の支援について

(かもと)次に、県内消防団の支援について伺います。

阪神・淡路大震災、東日本大震災で、火災の消火、救命、救助で大きな役割を果たしたのが消防団であります。ことしの広島、昨年の島根県西部を中心とした豪雨土砂災害でも、消防団の存在は欠かせませんでした。大きな災害では市町村の消防本部の隊員だけでは手に負えませんが、大災害に備えた消防職員を常に雇用していることはできません。そこで、防災における消防団の役割が大変重要になってまいります。災害が起こったときにすぐに現場に駆けつけてくれるのは地域の消防団であり、消防団は、平常時、非常時を問わずその地域に密着し、住民の安心と安全を守る重要な役割を担っています。

しかし、過疎地域の消防団では、少子高齢化、農業から会社勤めへの労働形態の変化、住民の意識の変化などにより、新たに団員として参加する若い人たちが減少し、高齢化が進行しています。私の住む安来市においても消防団員の高齢化が進み、新たな団員の募集についても御苦労をされておられます。

そこで、県内の消防団の定員と実数の推移、募集状況、課題についてお伺いいたします。

(防災部長)消防団は市町村に置かれる非常備の消防機関であり、地域に密着し、大きな動員力を有していることなどから、地域防災力の中核的な役割を果たしていただいております。その行政上の位置づけは、団員としては特別職の市町村の職員であり、その定数は市町村の条例で定めるということになっております。県内の団員総数は平成元年に約1万5,000人であったものが、今年度は約1万2,400人となるなど減少傾向が続いております。

また、定数に対する充足率も本年4月1日現在で92.4%と、充足率100%ということではございません。その募集状況につきましては、毎年3月から4月にかけて定年等による団員の退団が多くなることから、総務省消防庁は1月から3月を消防団員入団促進キャンペーンの期間に位置づけ、広報活動を展開しております。県もポスターやリーフレットを配布したり、また職員へも入団を呼びかけるなどしているところであります。各市町村では、広報紙やCATVによる呼びかけや消防団員による地域への働きかけなどの募集活動を実施しております。

また、その抱える課題についてでありますが、団員の減少を少しでも食いとめるため、団員にやりがいや充実感を持って活動してもらうこと、会社員など被雇用者が約8割を占める現状にあることから、消防団活動に対する事業所の理解を促進すること、女性の方や学生の方を始めとする新たな担い手を発掘するため、消防団への理解を深め、広く県民の方々に関心を持ってもらうことなどが課題であるというふうに認識をしております。

(かもと)昨年、平成25年12月13日に、議員立法による消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が公布及び施行されました。この法律は、地域防災力の充実強化に関し基本理念を定め、国と地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、住民の積極的な参加のもとに消防団を中核とした地域防災力の充実強化を図り、住民の安全の確保に資することを目的としています。

第3条の基本理念においては、地域防災力の充実強化は、住民、自主防災組織、消防団、水防団、地方公共団体、国等の多様な主体が適切に役割分担をしながら、相互に連携協力して取り組むことが重要であるとの基本的認識のもとに、地域に密着し、災害が発生した場合に地域で即時に対応することができる消防機関である消防団が、その中核的な役割を果たすことを踏まえ、消防団の強化を図るとともに、住民の防災に関する意識を高め、自発的な防災活動への参加を促進すること、自主防災組織等の活動を活性化すること等により、地域における防災体制の強化を図ることを旨として行われなければならないと定めています。

また、あえて国及び地方公共団体の共同の責務として、第4条において、国及び地方公共団体は前条の基本理念にのっとり、地域防災力の充実強化を図る責務を有するとしております。

この法律の公布施行と同日に、消防庁次長名で各都道府県知事に、主に以下の点について留意し、消防団を中核とした地域防災力の充実強化を一層推進するよう、また都道府県内市町村に対してもその旨を周知するよう、消防組織法第37条に基づく助言として通知をされております。

まず第1に、消防団への加入の促進であります。今後、大規模災害時のみに出動を限定した団員、消防職員団員OBによる団員、郵便局職員で構成される分団を始めとした機能別団員、分団制度の積極的な導入など、より一層の加入促進。また、防災訓練等における消防団との連携、みずからの地域はみずからで守るという意識の啓発を図るために必要な措置、各種イベントでの消防団の活動内容の紹介や歴史的、伝統的価値の再認識などにより、消防団に対する地域の住民の理解が深まるよう努めることなどとしております。

第2に、公務員の消防団員との兼職に関する特例であります。一般職の職員が消防団員を兼ねる場合における報酬等の取り扱いについての特例により、より一層、地方公務員の入団促進を図ることとされています。

第3に、事業者の協力であります。地方公共団体においては、勤務者に対して防災意識の高揚や防災活動に積極的に参加しやすい環境づくりに取り組むこととされています。国と市町村が運用する消防団協力事業所表示制度の活用等により、協力事業所の社会的評価や信頼性を高め、事業所における消防団活動へのより一層の理解及び協力を促進すること。現在、表示制度の導入市町村数が低位にとどまっている都道府県においては、市町村における表示制度の速やかな導入を促すこと。また、入札参加資格にかかわる優遇措置等の特例措置、長野県及び静岡県において実施されている事業税の減免措置など、より一層事業者の協力を得るための取り組みを推進することなどとしております。

そのほか、大学等の学生に対し、消防団活動の一層の理解を深めること。消防団員の処遇の改善、消防団の装備の改善、消防団員の教育訓練の改善及び標準化、自主防災組織等に対する援助などについても、一層の取り組みを要請しております。

消防団員数を維持、増加させることについては、主に市町村を中心にさまざまな取り組みが見られます。最近の例で言いますと、宮崎市がことし8月から、市内の飲食店などと協力して宮崎市消防団応援の店を開始しておられます。協力店が、団員やその家族に料金割引などのサービスを提供する試みであります。飲食店や代行運転業、映画館など45店舗が集まったそうであります。協力店では、団員やその家族のみに配られるカードを提示することでサービスの提供を受けられるということであります。料金割引、料理やドリンクの提供などのサービスは各店が決め、協力店には消防団応援の店のステッカーとポスターが提示されているということであります。

山梨県中央市でも、消防団員確保に向け、団員や家族に割引などのサービスをするサポート店を募集し、団員サポート事業を実施、飲食店、雑貨店、時計・眼鏡店、郷土資料館なども協力されております。店舗ごとにドリンク1杯サービスや料金の8%引き、入館料無料などの特典を設けているそうであります。

岐阜県の美濃加茂市を始めとする2市7町1村を構成市町村とする岐阜県中南部の可茂地域では、共同で消防団員とその御家族が登録事業所で料金割引などの特典を受けることができるサービスを提供しておられます。消防団員本人とその御家族1名に限り団員シールが配布され、それを113カ所のサービス登録事業所に提示すると特典が受けられるということであります。飲食店、食品店、ガソリンスタンド、カラオケ、エステ、理髪店、衣料品店、化粧品店、時計店、農機具販売店、カイロプラクティック、アミューズメント施設における割引、子どもの塾の入会金無料化、新聞店による中日ドラゴンズの先行予約チケット先行販売に至るまで、さまざまなサービスを消防団員やその御家族に提供されています。

静岡県では、ことしの4月から、ふじのくに消防団応援連盟事業が実施されています。静岡県内の消防団員及びその同居の家族が、ふじのくに消防団応援連盟に参加している団体が運営する観光施設を利用する際、身分証明書等及び家族であることがわかる書面を提示すると、入場料が半額になるという事業であります。

また、愛媛県では、えひめ笑顔で消防団員応援プロジェクトがことし4月から実施されています。こちらは、県内の市町の民間企業等から広く参加を募り、県内全域で消防団の皆さんの応援をされており、国内でも都道府県では初めての試みだそうであります。

また、女性団員を含めた団員を募集する試みもあります。茨城県ではホームページにおいて消防団の歴史や組織、活動内容、身分や処遇、団員数、県内の市町村、消防本部の問い合わせに加え、女性消防団員の勧誘をされています。富山県では、女性消防団活動事例集などもホームページで紹介されています。

静岡県では、県内の大学、短大の学生に積極的に消防団に入団してもらおうと、キャンパスに職員を派遣して勧誘活動をしておられます。また、先ほども触れましたが、長野県や静岡県では、消防団員がいる事業所に対して県の税金である事業税を減免する制度を設け、企業や事業所の職員が消防団員になることの理解を促しています。

第一義的には、消防団員の募集や消防団の活性化については市町村の仕事でありますが、先ほど御紹介した法律の要請もあります。また、現実問題として、県内の市町村の個々の取り組みだけでは有効な対策が打ちにくいというのが現実ではないでしょうか。私は、消防団やそれを支える人たちの地域における社会的評価をさらに上げていくことが一番大事だと思っておりますが、県内の消防団員数を維持、増加させること、あるいは消防団の活性化を図るための支援策についてお伺いいたします。

(防災部長)消防団員の数を維持するため、あるいは増加するための支援策についてであります。

県としては、次のような取り組みを現在実施しております。まず、団員の方々にやりがいや充実感を持って活動していただくために、消防大会を開催し、消防関係で貢献のあった団体や個人の方々の表彰を行っております。また、消防操法大会を開催し、日ごろの訓練の成果を披露する場を提供させていただいております。

団員の方々が在籍される事業所の理解を促進するため、消防団活動に協力的な事業所について表彰させていただいたり、あるいは総合評価方式の入札工事において加点をする制度を導入いたしました。また、有利な融資制度の対象に、そういう事業所を加えるということをしております。

消防団への理解を深め、広く県民の方々に関心を持っていただくために、テーマとして「消防団の輝く一瞬」ということを掲げた写真コンテストを懸賞応募協会と一緒に実施をいたしました。県庁ですとかあるいは県内で行われるイベント会場などでその作品の展示を行って、広くごらんをいただいております。

また、消防協会や消防本部と連携して、消防団員の方々の災害への対応力を向上させるための研修にも力を入れております。議員から御紹介いただきました消防団員を支援する事業についても、市町村やあるいは関係機関ともよく相談してまいりたいというふうに考えております。団員減少をとめる特効薬となる対策はなかなかございません。市町村や関係機関と協力して、消防団の魅力向上、活性化、充実強化に向けた取り組みを今後も粘り強く行っていきたいと考えております。

3.10月18日の原子力防災訓練について

(かもと)次に、10月18日に行われる予定の原子力防災訓練について伺います。

島根県においては、昭和57年からおおむね2年に1回、原子力防災訓練が実施され、特に平成13年からは今まで毎年実施されてきました。特に東日本大震災後の平成23年度原子力防災訓練においては、従来の島根県と松江市に鳥取県及び30キロメートル圏内の周辺市を加えた新たな枠組みで、初動活動を中心として、原子力緊急時における防災関係機関相互の連携による防災対策の確立及び防災業務関係者の防災技術の習熟を図る訓練が実施されたところであります。

平成24年度においては、広域避難計画に基づく実働避難訓練や避難先での避難所運営訓練を実施することにより、計画の実効性の検証、及び課題の洗い出しを図り、あわせ社会福祉施設の避難訓練が実施されました。また、緊急時モニタリング訓練の実施と検証、鳥取県との緊急時通信連絡訓練が行われました。

平成25年度は2日間にわたって訓練が実施され、原子力防災体制の見直しにあわせ、原子力災害発生時における防災関係機関相互の連携による防災対策の確立及び防災業務関係者の防災技術の習熟を図ること、また住民、学校等の参加により、原子力災害発生時の避難対応力の向上を図るとともに、原子力防災に対する理解の向上を図る目的で、緊急時通信連絡訓練、オフサイトセンター設置運営訓練、住民、学校、要援護者の避難措置等訓練、緊急時モニタリング訓練、緊急被曝医療活動訓練などが行われたところでございます。

このたびの10月18日に行われます予定の原子力防災訓練の具体的な内容をお伺いいたします。

また、過去の訓練における関係機関、団体、住民の皆様などのフィードバックも大事であります。どのような異なる訓練を今回の原子力防災訓練に入れたか、そして特に重点を置く訓練は何かを伺います。

(防災部長) まず、18日に実施します訓練の具体的な内容についてのお尋ねがございました。

個別の項目ごとに申し上げますと、初動対応の訓練といたしましては、トラブルが発生したときの対応手順の確認、あるいはオフサイトセンターと国や県、市の災害対策本部の間でのテレビ会議による避難指示伝達手順の確認というようなことを行いたいと考えております。

住民の方々の避難措置訓練あるいはスクリーニング訓練では、30キロ圏外の避難経路上においてスクリーニングを受けていただき、避難先において原子力防災について学習をしていただくということを考えております。

また、要援護者の方々の避難措置等の訓練においては、10キロ圏内の社会福祉施設を対象とした屋内退避訓練、あわせて支援物資の搬送手順の確認やヘリコプターを使用した救急搬送、そういうことを行いたいというふうに考えております。

緊急時モニタリング訓練としては、可搬型のモニタリングポスト等を用いて、30キロ圏域内での測定ポイントにおける緊急時における放射線の測定を行いたいというふうに考えております。

緊急被曝医療活動訓練としては、新たに被曝医療機関となった施設がたくさんございますので、そういうところの職員の方々を対象とした被曝の医療実習を行いたいということを今計画しているところでございます。

過去の防災訓練と異なる内容はどういうことなのか、また特に今回重点を置く内容はどういうことなのかというお尋ねがございました。

まず、昨年度の訓練と大きく異なる点といたしましては、今年3月に地域防災計画の原子力災害対策編を修正し、放射性物質が放出される前と放出された後における防護対策の実施基準をそれぞれ新たに設定をいたしました。ことしの訓練は、この点を踏まえまして、放射性物質が放出された後の住民避難訓練を初めて実施したいというふうに考えております。

次に、今年度重点的に取り組む項目といたしましては、まず広域避難に伴うスクリーニングについてでございます。

本年6月に国が示しましたスクリーニングの考え方を踏まえた訓練を実施したいと考えております。具体的には、30キロ圏の境界の周辺の、さらには避難の経路上にスクリーニングの場所を設定したいというふうに考えております。また、自家用車のスクリーニングを実施するために、これはゲートモニターと申しますが、2本の支柱の間を車が通ることで車の汚染の度合いを測定する、そういうゲートモニターというものも使用しましたスクリーニングを実施してみたいというふうに考えております。

さらには、松江市及び安来市の方は鳥取県を通過して岡山県に避難していただくという計画を既に策定したところでございますので、それを前提としまして、鳥取県とスクリーニングの場所を共同で運営するということで、鳥取県内でスクリーニングをするということをやってみたいというふうに思っております。

また、わかりやすい広報ということも課題として掲げたいと思っております。昨年度の避難訓練に参加された住民の方々から、行政機関の出す広報文、いわゆるお知らせの文書について、専門用語が多いとか横文字が多くてわかりにくいという御指摘をいただきました。これを踏まえまして、ことしの訓練では、できるだけわかりやすい一般的な言葉に言いかえた広報を実施してみたいというふうに考えております。まだ、今検討の途上ではございますが、従来ですとPAZあるいは略してパズと言ってみたり、UPZというふうな言い方をしておったものを、例えば5キロ圏とか30キロ圏という言葉に言いかえてみたらどうかとか、避難行動要支援者という言葉がございますが、こういう言葉を、お一人では避難が難しい方というふうに置きかえてみたらどうかというふうなことで、今いろいろ検討してるとこでございます。

さらに、要援護者の方々の施設、社会福祉施設等での屋内退避訓練でございますが、昨年から放射線防護対策を実施しておる施設がたくさんございます。そういう要援護者施設での屋内退避訓練を実施をしたいと思います。そこでは、施設の職員の方々による、入所していらっしゃる方に対する屋内退避の支援の手順を確認していただく、あるいは防護対策で設置をしました機器の稼働手順、いわゆる動かす際の手順の確認をしていただく、さらには、屋内退避は一定の期間ということになりますので、当該施設への物資の補給やあるいは補給するものを受け入れていただく手順の確認、そういうことをことしは新たにしてみたいというふうに考えております。

また、そのほか、発電所から5キロ圏内の小学校において、保護者の方々が子どもさんを学校に迎えに来るいとまがない、そういうケースも想定いたしまして、一時的に児童の方を5キロ圏外の避難所に退避いただいた上で、その退避したところに保護者の方々がお越しいただいて引き渡すという訓練も実施してみたいということで、今準備を進めているところでございます。以上でございます。

4.県政運営について

(かもと)最後に、県政運営について知事にお伺いいたします。

第2次安倍改造内閣が、9月3日発足しました。同日の記者会見において安倍首相はこう述べておられます。改造内閣の最大の課題の一つが、元気で豊かな地方の創生であります。人口減少や超高齢化といった地方が直面する構造的な課題に真正面から取り組み、若者が将来に夢や希望を持つことができる魅力あふれる地方をつくり上げてまいりますということでありました。

その上で、地域活性化のほか、地方分権、道州制改革など、ありとあらゆる地方政策にかかわる権限を集中して、新たに地方創生担当大臣を創設したこと、そのため、農政のプロとして地方の実態に通じ、何よりも経験豊富で実行力の高い石破氏が地方創生大臣となったということであります。

また、9月5日のまち・ひと・しごと創生本部事務局発足式においては、石破地方創生大臣は訓示の中で、各省庁のいろんな要求を全部束ねて0.7を掛けて、ホチキスでとめるようなことは絶対にやらない。そして、東京対地方の対決の構図には絶対にしない。これは日本を新しい形につくる、そういうような事業であると。霞ヶ関や永田町で考えていることと現場との間に乖離がある限り、絶対に共感も得ないし、政策も実行を得ない。この国に生きてよかったという思いを国民が等しく持てるように、全身全霊でお互いに努めてまいりたいと決意表明をされておられます。

創生本部の本部長は安倍首相、副本部長は菅官房長官、石破地方創生大臣がつかれ、まち・ひと・しごと創生会議の12名のメンバーには、浜田市出身のコマツ相談役坂根正弘氏もおられます。創生本部は有識者の意見も聞きながら、2015年から5年間の具体的な施策と工程表を示す総合戦略と、人口減少や少子高齢化に対応する今後50年の長期ビジョンを年内に取りまとめるということであります。

安来節にこういう歌がございます。「山に切る木は かずかずあれど 思い切る木はさらにない」。しかし、国はやる気満々です。地方創生に向け、異次元の施策に取り組むということであります。国には思い切った施策を打つ準備がなされていますし、島根の提案を国の支援を得ながら実行できる、よいチャンスであります。島根県の国会議員の皆さんもそれぞれ要職につかれ、応援していただける体制は整っております。

大切なのは、地方が当事者としてそれ以上に覚悟を持つこと、地方単独でも実施できる有効な施策を持つこと、地域の実情に応じた具体的で説得力のある提案が国にできることだと思います。島根県の県政の大きな課題は、産業振興による雇用の創出と子育て支援であると考えますが、知事に、産業振興による雇用の創出、子育て支援についての意気込みと今後の取り組みの目玉は何かお伺いいたします。以上でございます。よろしく御答弁をお願いいたします。

国によります地方再生の取り組みについて、意気込みと島根の目玉は何かといった御質問であります。

 

(知事)政府が、こうした日本全体の人口問題あるいは地方再生といった問題に本格的に取り組もうとされるのは、初めてと言っていいことでございます。そういう意味におきまして、こういう機会を活用いたしまして、好機と捉えまして、島根の発展のために全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。

そこで、島根としての目玉と申しますか、大事なことは何かということでございますが、この前もこの場でお答えをしたことがありますけども、日本全体で人口問題に対応しようとしますと、やはり子育て支援をどうするか、そのため、子どもの出生率あるいは出生数をふやすということが一番大事でございますが、地方におきましては社会増減ということが大切なわけです。特に島根のようなところはそうでございます。島根の人口が減っていくのも、大都市で産業がどんどん発展しまして、そこへいい職場を求めて島根から若者が出ていき、そのために島根の人口が減っていったということでございますから、島根としてはやはり社会増減の観点から、産業を振興して島根の中で職がふえるようにすると、これが島根のやるべき仕事の大きな部分ではないかと思いますね。

そして、子育て支援を国全体としてやる、あるいは子育て支援のために結婚、そして子どもの出産、そして子育て、そういうプロセスを進めるためには、やはり国全体として大きな支援措置が必要だと思います。欧州などで行われてるのはそういうことでございまして、そういう点は財政全体の問題として国全体として考えていかなければなりませんけども、島根自身としてもできることをやっていかなければならないというふうに思います。

そういう意味で、島根の中で若者が働ける場をふやすというためには、企業誘致でありますとかIT産業の振興、物づくり産業、農林水産業の振興、あるいは観光振興、そしてそうしたためのインフラ整備ということをやっていくっていうことが引き続き大事でありますし、また、こうした産業振興でカバーできない分野があるわけですね。若者が島根に移り住んで、一定の仕事をしながら子育てなどをしたいといったようなことにつきましては、やはり定住という観点からいろんな対応をしなければならないわけでありまして、定住アドバイザーを配置したり、産業体験事業や無料職業紹介事業を実施したり、そういうことが大事でございます。

そして、国全体として取り組む話として、子育て支援という大きな枠組みの中で、これは気持ちだけではなかなか進まないわけで、現実的な問題ですね、教育に対する負担、あるいは保育所に対する負担、あるいはそういうものをどうやってふやすかと。これはやはり巨大な財源を必要とするわけでございます。それは国の財政の再建とも絡み、どういうことがどういうふうにできるかと。国全体で考えなければいけない問題でございますが、県としてもできる対応として、例えば小規模保育事業への支援でありますとか、保育料の軽減、乳幼児医療の助成、あるいは縁結びの応援としての婚活でありますとか、そういうことはどんどんやっていかなければならないというふうに思っておるところであります。

こういったことが基本的な考えではないかと思いますが、県内の市町村の意見などもよくお聞きをしながら、総合的に中長期的な視点を持って対応していきたいというふうに考えておるところでございます。

いずれにしても、人口の減少っていうのはゆっくりしたペースで長年かかって進むわけでございまして、やはり粘り強く努めていくということも大事な課題だというふうに思っておるところでございます。

以上

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