2016/04/01 12:39:02 テーマ:議会
平成26年(2014年)11月定例会(一問一答質問)
1.航空機産業に参入しようとする松江、安来の特殊鋼関連業の支援のあり方について
2.中海架橋(仮称)の必要性についての現状認識について
1.航空機産業に参入しようとする松江、安来の特殊鋼関連業の支援のあり方について
(かもと)
松江、そして安来の特殊鋼関連産業が航空機産業に参入しようとされております。世界を俯瞰しながら、日本における航空機産業の特徴、そしてその将来性をどのように認識しておられるか、商工労働部長さんにお伺いしたいと思います。
(商工労働部長)
世界主要国の航空機産業は、約25兆円の規模となっております。その中で、日本の航空機産業の生産高は1兆円規模と、主要国の中では大きくありませんが、最新鋭機でありますボーイング787型機では、製造シェアが35%と大きく拡大し、日本の技術力の高さを証明しております。
世界の航空機市場は今後20年間で約3万機の新規需要、新興国の航空機需要もありますので、現状の2倍を背景に、400兆円以上になると言われております。日本においても、航空機の需要拡大や国産旅客機、三菱重工のMRJの量産開始などにより、堅調な伸びが期待されるものと認識しております。
(かもと)
大変成長性のある産業であるということでございます。物の本によりますと、非常に利益率も高くて、規模も、先ほどの紹介のように大きいと。そして、これ技術的にいろいろな産業の波及効果があると。自動車、新幹線、あるいは医療機器等、さまざまな分野に波及していくという非常に魅力のある産業、市場であるということでございます。
そうした市場ではありますけれども、人を乗せて数千メートルの高度を飛ぶわけですから、非常に安全性、信頼性が求められると。部品が300万点と、航空機の、そういったものをそれぞれの安全性、信頼性を確保しながらやっていかなきゃならないということで、それぞれの段階の設計、試作、試験、製造、組み立て、さまざまな試験、あと型式証明取得というような難しいこともあるようだと伺っております。プロダクトサポートなどの技術的な問題、認証の問題、そういったさまざまな問題があろうかというふうに伺っております。
そこで、安来、松江を中心にした地域の特殊鋼の関連産業が、航空機産業に参入されるための条件というのはどういうものなのか。私は、地域の特殊鋼関連産業が参入するための条件をクリアできるというふうに思っておりますけれども、どのような認識を持っておられるのかお伺いいたします。
(商工労働部長)
航空機産業参入に当たりましては、航空機産業特有の品質マネジメントシステムの国際認証取得や高度な生産加工技術が求められるなど、自動車産業に比べ、かなり高いハードルがあります。このような中、安来、松江を中心とした特殊鋼関連産業においては、これまでに蓄積された特殊鋼の製造や加工技術をもとに、航空機エンジンなどの部材の開発や生産に向けた大型設備や品質管理システムの構築などの取り組みが活発化しております。航空機産業特有の国際認証でありますJISQ9100も既に5社が取得するなど、事業参入拡大に向けて着実に進んでいると認識しております。
(かもと)
この特殊鋼関連産業、非常に評価をされているということであろうと思います。
ところで、毎年、工業統計調査というものがございますが、この統計において、安来市の鉄鋼業の付加価値額は、国内の市区町村と比べてどのような位置づけになるのかお伺いしたいと思っております。
(商工労働部長)
平成24年工業統計調査では、全国の順位まではわかりませんが、安来と同じ国内大手鉄鋼メーカーの製造拠点があります福山市の鉄鋼業と比較してみますと、福山市が製造品出荷額が8,200億円に対して、安来市は1,300億円、一方付加価値額は、福山市が670億円に対して安来市が720億円と福山市を上回っております。
(かもと)
先ほど、田中議員のお話の中で、三隅の発電所のお話がありました。100億円、200億円という非常に大きな額でありますが、実はこの安来の鉄鋼業、これだけの規模の額を稼ぐだけの力を持っているということなんだろうと思ってます。
ところで、ちょっとさかのぼって、この付加価値額の定義、工業統計調査の、これについてお伺いいたします。
(商工労働部長)
工業統計調査におきましては、従業員30人以上は付加価値額で、従業員29人以下は粗付加価値額で計上がされております。この付加価値額ですが、製造品出荷額から原材料費使用額と減価償却額を除いたものであります。粗付加価値額は、原材料費使用だけを除いたものになります。
(かもと)
そうしますと、もうちょっとやわらかい表現をさせていただきますと、この付加価値額が多い、あるいは大きいということは、人を雇う力、雇用力、あるいは設備投資をする力があるというふうに考えてよろしいですか。
(商工労働部長)
そのとおりだと考えます。
(かもと)
ちなみにもうちょっと、この工業統計調査、市区町村分類の工業統計調査の場合は中分類で出てくると思いますが、県内の8市の付加価値額、それぞれの産業どういう、その中で安来市の鉄鋼業が位置づけなのか教えていただきたいと思います。
(商工労働部長)
安来市の鉄鋼業は、県内製造業全体の付加価値額に占める割合の20%に当たり、県内においても極めて高い位置づけだというふうに認識しています。
(かもと)
もうちょっとですけど、安来の鉄鋼業、県内で何番目かわかりますか。
(商工労働部長)
今、ちょっと資料が細かいものが出てなくて、わからないところがあるんで、実は工業統計、結構1社、1つの町村に1社しかないところですと、個名が見えてしまうんで出てないところもありまして、今そのことについてはちょっと把握しておりません。
(かもと)
非常に高いものだというふうに思っておるところでございます。先ほど申しました技術的にも非常に難しい分野でもあるけれども、成長性がある、規模がある。将来性があるということでございます。そして、この航空機産業に、この地域の特殊鋼関連産業はやっていける力があると、生き抜いていける力があるというふうに私は理解しておるところでございますけれども、この航空機産業に入ろうとしておる地域の特殊鋼産業、いろいろな新しい技術を生み出していきながら、あるいは競争優位の持つ技術を持ちながら、それぞれの地域で産業集積を図っていく。経済産業省さんではクラスターという表現をされるみたいですが、この航空機関連産業のクラスターの形成の動き、全国、国内でどれぐらいあるのかお伺いしたいと思います。
(商工労働部長)
近年、全国各地において航空機関連の共同体発足の動きが活発化しております。中国地方では、岡山のウイングウィン岡山、広島のひろしま航空機産業振興協議会などがあります。その形態ですが、●共同自主●のための地域共同体を設立しているものから、新規参入のための勉強会等を行う研究会、協議会などさまざまでありますが、合わせると20から30程度のクラスターが形成されております。
(かもと)
これからこのクラスターの間で大競争が始まるということだろうというふうに思っております。この中で、航空機産業に参入されようとする地域の特殊鋼関連産業への支援の現状と課題、そしてこれからの支援のあり方についてお伺いいたします。
(商工労働部長)
特殊鋼関連産業につきましては、産学官で設立しました島根特殊鋼関連産業振興協議会で作成された構想に基づいて、航空機分野への参入についても支援を行っております。具体的には、航空機産業特有の認証への取得助成、技術開発費への助成、展示会や商談会への出展支援、研修会や市場調査などを行ってきておるとこでございます。
今後、航空機関連メーカー等と取引を進めていくには、県の支援に加え、品質保証、加工技術、設備投資などに対し、国の協力が必要と考えております。
(かもと)
まさにそのとおりだというふうに思っておるところでございます。
そこで、研究開発支援について、この産業において、一般的にといいますか、研究開発にどれぐらいの費用あるいは期間がかかるものなのかお伺いしたいと思います。
(商工労働部長)
企業の研究開発、特に航空機分野、期間、費用がさまざまでありまして、なかなか詳細に言えませんが、一般的に、長期の開発期間、多額な経費がかかるものと思われます。先ほど言いましたように、国の制度なども広く活用していく必要があると考えております。
なお、島根県では、航空機エンジン等の素材開発や製品開発などに対して、上限1,000万円、補助率2分の1の特殊鋼産業成長分野進出助成金を設けております。
(かもと)
私も専門家ではないのでわかりませんけども、それこそ本には何百億円も開発費がかかりますよみたいな話が書いてありまして、部品の素材の、いわゆるもうちょっと階層の下の業界の中でどれぐらいかかるのかということは定かではないですけども、現実問題として、この1,000万円という枠、これ十分でしょうか。
(商工労働部長)
県での助成としては、先ほど言いましたように、ソフト、それからハードもきっかけみたいなところからでありまして、正式に参入されるには、やはり国の支援等が必要だというふうに思っています。
(かもと)
航空機産業の場合は、それこそ成長性、規模はあるけれども、非常に魅力的な市場だけれども、非常に長い開発期間がかかると。先ほども言いましたが、物すごい規模の研究開発費もかかる。その中でこの事業を成功させるということになりますと、やはり景気に左右されないような安定的な支援の策が私は必要じゃないかなというふうに思っておるところでございます。その意味で、国に対して、航空機産業を我が国の基幹産業として発展させる国家戦略として位置づけ、取り組むこと、その中で航空機産業の国内産業基盤を育成し、当特殊鋼関連産業を支援することを強力に推し進めるよう要望という形で積極的に求めるべきだと思いますけれども、どのようにお考えか、知事にお伺いいたします。
(知事)
御指摘のように、安来、松江地域の特殊鋼関連産業は、非常に高い技術力を有している企業群があるわけでございまして、既にこの地域の業界の皆さんが連携して、航空機分野に進出しようという取り組みをされておるわけでございます。御指摘のように、また航空機産業の航空機の開発というのは長い年月を要しますし、リスクもありますから、国家的な支援が必要なわけでございます。その点では、政府におかれて、各地域に産業競争力会議というのを設けて、地域地域でどういう産業を育てていくかという議論をして、1年ぐらいもうたちましたでしょうか。本年4月には、中国5県で構成します中国地方産業競争力会議におきまして、戦略的推進分野の一つとして、この安来、松江地区の航空機の関連産業を国の戦略的推進の分野の一つとしてお願いをしようということで取り上げられておりまして、県としても、この中で推進を、業界の方々と一緒になってやってまいりたいというふうに思っております。
2.中海架橋(仮称)の必要性についての現状認識について
(かもと)
次に、中海架橋の関連についてお伺いいたします。
中海架橋につきましては、昭和54年、55年に、島根県、鳥取県共同で、中海周辺地域道路交通体系調査が実施され、安来から米子間の架橋は検討に値するという報告を契機に、昭和57年に両県共同で中海架橋調査が行われました。その中で、安来米子架橋についても、経済性のあるプロジェクトであるという結論が出た上で、平成2年、両県の、島根県は企画部長、鳥取県は土木部長だと思いますが、これによる中海架橋調査を共同で実施することなどの申し合わせが行われております。平成2年12月には、中海架橋の事業化にかかわる調査の推進及びこれに関連する諸問題の調査を行う目的で、島根県企画部長を会長とし、鳥取県企画部長、両県土木部長、米子市、安来市の助役を構成員とする中海架橋連絡協議会が設立されました。
その後、平成2年、平成5年にかけて、事業効果、ルート等などについて共同調査が実施され、中海架橋建設は、中海圏域の渋滞緩和と地域開発の促進に相当の効果が期待できるとともに、ルートについては八尋鼻ルートが最適であるという結果となりました。これを受け、平成6年1月、島根県鳥取県幹線道路協議会において、八尋鼻ルートを最適案として整理され、翌月の中海架橋連絡協議会において、建設ルートを八尋鼻安倍ルートに決定され、総工費は350億円とされました。
こうした流れの中で、同連絡協議会は、中海架橋建設の具体化を目指して、諸問題の検討、調整を行う目的で、中海架橋建設連絡協議会という名前に変えまして、平成6年9月に設立されました。この協議会の構成は、島根県土木部長を会長とし、鳥取県土木部長、島根県企画振興部長、鳥取県企画部長、米子市、安来市の助役であります。この会議は平成13年まで年1回程度、両県課長、両市部長を構成員とする幹事会の開催がなされてきましたが、それ以降、開催されておりません。中海架橋建設連絡協議会の活動は13年前から休止している状態ということだろうというふうに思います。
いろいろこの経緯を調べてみますと、大づかみに、協議会の活動が休止している理由として、山陰道の整備も進んで、平成13年3月には安来道路、松江道路も全線開通し、平成16年には江島大橋が開通、厳しい財政状況の中で公共事業が削減されるなど、中海環境を取り巻く状況が大きく変化してきたということだろうと思います。
私は、島根県に1本高速道路を通す、できるだけ早い段階で県内山陰道の全線開通に向けて要望活動を続けていくことに大いに賛同しておりますし、私も議員活動が続けられる限り、微力ながら応援をしていく決意はいささかも変わるところがございません。しかしながら、安来市は、島根県へこの夏も中海架橋の早期実現の要望を出されております。中海圏域定住自立圏、中海・宍道湖・大山圏域市長会においても、中海架橋の早期実現は共通の課題であるとの認識を示しておられます。また、安来市と米子市がことし4月に中海架橋の費用対効果の検討調査の結果を発表されておりますように、渋滞の緩和はもとより、観光地の周遊性や物流の機能向上などの効果が期待でき、費用便益対比が1.8と算出されていることとして、中海架橋建設連絡協議会の再開を求めておられます。
中海架橋建設の具体化を目指して諸問題の検討調整を行う目的で、平成6年に設立された中海架橋建設連絡協議会を再開させることについてどのようにお考えなのか、土木部長にお伺いいたします。
(土木部長)
ただいま議員から御説明がありましたように、中海架橋建設連絡協議会は平成6年に建設を前提として立ち上げたものでございますが、今、当時と比較しますと、周辺道路の整備状況並びに公共事業予算の状況が大きく変化しておりますので、現在、鳥取県とは毎年、事務レベルで県境の道路のあり方について検討しておりますが、現時点では協議会を再開する段階には至っていないと考えております。
(かもと)
先月、中海・宍道湖圏域5市の6青年会議所、出雲と平田、松江、安来、境港、米子の青年会議所でつくっておられる6JC経済文化交流会の皆さんが、中海架橋の実現を求める要望書を知事に手渡されたところでございます。中海・宍道湖・大山圏域の一体的発展と地方分散型社会の推進を図るため、圏域に暮らす若者の視点により、中海架橋の有用性について検討し、中海架橋の早期実現を目指して関係自治体へ事業推進を要望することとされ、中海架橋実現に向けた中海架橋建設連絡協議会の早期再開、国に対する重点要望施策に中海架橋建設計画を盛り込むことを要望されております。非常にこの要望、よくできております。中身を紹介したかったんですが、ちょっと時間がございませんので。
そこで、鳥取県議会の去年2013年6月の定例会で、斉木正一議員の平井県知事に対する中海架橋の必要性に関する質問に対して、平井知事は、中海架橋については溝口知事とも時々お会いをしています。そういうときに話題にならないわけではございません。私どもの立場としては、これはいずれやらなければならない道路だということで申し上げておるところでございますと答弁されておるところでございます。中海架橋の必要性について、現状の認識について知事にお伺いいたします。
(知事)
御指摘のように、中海・宍道湖そして大山圏域といったところは、この山陰における大きな集積の地であります。そこの開発が進むということは、鳥取両県にとって大事なことでございます。そういう中で、中海架橋をどうするかということも大きな課題であり続けておるというふうに思います。ただ、やはりいろいろな相当な事業費がかかりますから、中海架橋につきましては、現在山陰道の整備が西に向かって進んでおるところでございます。早期の完成が望まれておりますし、また宍道湖・中海圏域につきましては、架橋だけではなくて、ほかの道路の整備も順次進みつつあるわけでございまして、そうした県内のインフラの整備の状況なども勘案しながら、引き続き中海架橋についても検討していかなければならないというふうに思っています。この前も、青年会議所の方々来られまして、私も説明を聞きまして、そのようなことをお答えをしておきました。
(かもと)
ありがとうございます。
国が主体となって、とにかく県境をまたいでいること、大規模な事業でございますので、国が主体となって事業を行っていただくことを前提として、ぜひ中海架橋建設に向けて、これから前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っております。
お話を知事から伺っておりまして、1つ質問が浮かびまして、これは通告してないので、聞いていいものかどうかちょっと迷うんですけども、今、と言いながら聞くんですが、今地方創生、そして人口問題については喫緊の課題だから、地域のためにもとにかく頑張ってやらなきゃならないんだという、国を挙げて今ムードが盛り上がっておりますが、この中海架橋、それの役に立ち得るんでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
(知事)
地方創生というのはまだまだ長い時間をかけて腰を据えてやらなきゃいかん課題でございましょうから、そういう意味では、そういう範囲にもよりますけれども、当然そういう中でも、将来において具体性のある検討がなされるだろうというふうに思います。ただ当面の政府の動きを見てますと、これ何度かお話ししましたけれども、国の財政は非常に難しい状況にありますし、消費税も延期をするというような状況でありますし、経済の状況も厳しいわけでございまして、インフラ整備そのものは、地方再生の今度のメニューの中には入れないという仕分けになっておるわけでありまして、私どもは、入れる入れないは別として、インフラの整備というのは、地方の振興にとって非常に大事なことであるから、そこはきちっとやってもらいたいということを政府との意見交換の場でも知事会の会長にも言ってもらったと、こういうような状況でございます。
以上