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島根県議会における主な質問(平成25年(2013年)2月定例会一問一答質問)

平成25年(2013年)2月定例会(一問一答質問)

【主な質問テーマ】

〇交通空白地域対策について

〇無業者対策について

1.交通空白地域対策について

(かもと)

皆さんおはようございます。議席番号2番嘉本でございます。

質問の前に、きょうで東日本大震災が発生しましてから2年が経過します。被害に遭われ、お亡くなりになられた方に改めて哀悼の意を表するとともに、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。

また、行方不明の捜索、復旧、復興が速やかに進み、避難生活を送っておられる方が一日も早く通常の生活に戻られるよう、心より念じております。

それでは、一般質問に入らせていただきます。

まず、交通空白地域対策について伺います。

島根県の公共交通バスの運行状況について、近年の状況と課題について地域振興部長に伺います。

(地域振興部長)

バス路線のうち、民間事業者が国道等を運行いたします路線は、利用者の減少に伴いまして廃止、縮小傾向でございます。それらを市町村が今代行運行して維持をしている状況でございます。いずれも大きな赤字を抱えておりまして、国、県、市町村の負担がなければ運行を維持できない状況でございます。地域に必要な交通手段を維持、確保していくためには、地域住民が利用しやすい最適な交通ネットワークを構築していくことが必要と考えております。

また、県内の中山間地域には、集落からバス停までの距離が遠く、公共交通バスの利用ができない交通空白地域があることも課題と認識いたしております。これらの地域の交通手段の確保を図っていく必要があると考えております。

(かもと)

その取り組みと実績についてお伺いいたします。

(地域振興部長)

平成21年度から2年間、空白地域対策といたしまして、飯南町谷地区など3地区において、自治会等がモデル的に行う輸送活動の支援をいたしました。しかしながら、地域の実情はさまざまであるため、自治会輸送など特定の形態に特化した対策を全県に導入するには限界があったことから、平成23年度から交通空白地域解消支援事業を創設いたしました。この事業では、多様な手段を提示し、地域の住民が実行可能な運行形態を選択してもらえるよう、立ち上がりに必要な経費を総合的に支援することとしております。実績は8地区で取り組まれ、現在1地区で運行を開始され、3地区が実行計画策定を行い、4地区が本格運行に向けた実証運行を行っております。

(かもと)

この事業、期間もあろうとは思いますけど、ちょっと少ないように感じますけれども、具体的に現場でニーズが少ないというようなことでしょうか、伺います。

(地域振興部長)

交通空白地域では、自家用車の使用が主体で、公共交通が地域全体のニーズに結びついていないことや、地元タクシー事業者などとの調整が必要なことから、事業の着手までに時間を要しております。

また、これまでも市町村などへの周知に努めてまいりましたけども、住民の方々への周知が十分とは言えないとも認識いたしております。一方で、平成21年度の調査によりますと、島根県内の3,977集落中、421集落が交通空白地域となっております。現在、事業の活用に向けて検討を進めている集落もあり、潜在的なニーズはあると考えております。今後、運行を開始する事例がふえることから、そうした事例を他の地域へ周知することにより、事業の活用に努めてまいります。

(かもと)

市町村の窓口のお話を聞いておりますと、なかなかこういった技術的なことも含めて、マンパワーが非常に厳しいと、人がなかなかいないというようなこともございます。そういったことも含めて、いろいろな角度から支援をしていただければなとお願いを申し上げておきます。

この交通空白地域解消支援事業、平成25年度で終了するということでございますが、今年度策定されました中山間地域活性化計画では、交通空白地域の解消に向けて地域主体の取り組みが進むよう、多様な手段を提示しながら、地域の実情に応じた持続可能な方策の導入を働きかけ、総合的に支援しますとあります。具体的にどのような取り組みをされる予定か、地域振興部長にお伺いいたします。

(地域振興部長)

交通空白地域解消支援事業は、平成25年で終了いたしますが、平成26年度以降につきましても、その必要性は大きく変わらないと考えております。市町村や地域のニーズを把握しながら今後検討してまいります。

検討に当たりましては、各市町の地域公共交通会議で議論いたしますとともに、中山間地域対策プロジェクトチームが市町村や地域住民の方々と地域課題の取り組みを進める中で、総合的な支援を考えてまいります。

(かもと)

先ほど地域振興部長のお話にもありましたけども、地域では民間のタクシーの利用、あるいは自治体、団体が行うもの、自治会などが主体となって行うもの、さまざまございます。地域により事情はさまざまで柔軟な支援が必要と考えますが、改めてどのようにお考えか伺います。

(地域振興部長)

議員御指摘のとおり、地域の実情はさまざまでございます。交通手段についても多様でありますから、それに対応できる柔軟な支援は必要であると考えております。

交通空白地域解消支援事業では、運行主体や運行形態の制限をせず、交通空白地域を含む地域での新たな交通手段の計画策定から本格運行までの取り組みを支援しております。その運用に当たっても柔軟に対応してまいります。

(かもと)

ちょっと別の角度から、中山間地域、交通空白地域というのは、農業が営まれているケースが非常に多いと、ほとんどだと思っております。島根県内では会社組織で農業を営む主体が、高齢者等の外出支援サービスを行っているケースもございます。今後、農業を担う組織がどのような形で交通空白地域において貢献できる可能性があると考えていらっしゃるか、農林水産部長にお聞きしたいと思います。

(農林水産部長)

先生、御紹介もありましたけども、一つの例としまして、集落営農組織の取り組みですが、バスの本数が少ない出雲市佐田地域におきまして、車を持たない高齢者などの不便を解消するために、市が有限会社グリーンワークに委託する形で、通院などの外出支援サービスを行っている事例がございます。この事例の場合、当該法人の組織形態が農業以外の事業の実施に制約を受けない有限会社の形態であったこと、また行政側から要請のアプローチがあったこと、そういったことから、こうした生活支援サービスの実施に至ったものというふうに聞いております。他の地域でも同様に、この諸条件が整えられれば、そうした可能性はあるものと考えられます。

(かもと)

最後に知事さん、地域の交通を確保して維持していくためには、地域の皆さんとそれぞれの地域の実情について行政が認識を同じくしまして、一緒になって考えて実行していくことが私は大事だと思っておりますが、この交通空白地域対策について、知事の思いを聞かせていただけたらと思います。よろしくお願いします。

(知事)

中山間地域におきまして、公共交通等がなかなか維持することが困難になっておるわけであります。そこで、今地域振興部長、農林部長等が話されたようないろんな努力がなされておると。やはり地域地域で状況が違いますけども、大体パターンは似ているわけです。日常の生活はその地域で大体できるんですけども、ちょっと大きい買い物ですと商業地域に行かなきゃいかん、あるいは病気ですと病院に行かなければならない、あるいは郵便とか金融の関係もありますね。そういうところに行くのにバスがない、タクシーではお金がかかる、あるいはタクシーもないということなんです。

そういうことで、地域で乗り合いタクシーのようなもの、あるいはデマンドタクシーとも言いますけども、そういうものを活用していく、やはり地元がそういうふうにまとまってどうするかという相談をされる、それを市町村が一緒になってやる、今の地域公共交通会議のようなところでやる、市町村もやる、県も一緒になってやると、そういう重層的な対応が必要ですし、それからやっぱり柔軟な対応が必要です。会社をつくるということもあるでしょうし、あるいは退職をされたけどもお元気な方が、ボランティアとして運転をしようとか、いろんなことがありますから、やはり効率的にうまくやるということが大事なわけでありまして、そういう面で地域地域でそういう話がなされていく、県のほうはいろんな先進事例をお示しをするとか相談に乗る、そういう形で空白をなくし、住みなれたところで生活ができるように、できるだけ努力をしていきたいというふうに思います。

2.無業者対策について

(かもと)

次に、無業者対策について伺います。

まずは、ことし1月、東京大学教授の玄田有史先生によって報告されました孤立無業者の現状と課題について、先般の角議員の御質問におきまして、孤立無業者についての質問でお触れになった報告書でございますが、この要点は何か、商工労働部長にお伺いいたします。

(商工労働部長)

今、議員のほうで御紹介のありました孤立無業者の現状と課題という報告書は、東大の玄田教授のグループがまとめられた報告書でございます。この報告書は、20歳以上59歳以下の在学中を除く未婚無業者で、ふだんずっと1人か、一緒にいる人が家族以外にはいない人々を孤立無業者と位置づけ、総務省が5年に1回実施します社会生活基本調査のデータをもとに、平成8年から平成23年までの推移、生活上の特性、性別、年齢等の特性、増加の背景、求められる政策などをまとめられたものでございます。

中身を御紹介いたしますと、現状と課題という形で御紹介いたしますが、孤立無業者数は、平成23年時点で162万人と、20歳から59歳の未婚無業者の約6割を占めており、平成13年、このときは85万人と推定してありますが、比べて10年間で2倍以上になったと、急速な増加になっているという指摘。そして、孤立無業者は男性、中高年齢で高校中退を含む中学卒ほどなりやすい傾向が見られた。2000年代になると、20歳代の若年者が孤立無業者になる割合が高まる。孤立無業者の増加は、ひきこもりやニートなどと並んで社会の不安定化要因となる可能性が高い。社会からの孤立状態を解消するための出張相談等のいわゆるアウトリーチの推進や、生活保護を受けざるを得ない状況に陥った場合にも、速やかに就業に移行できる政策が必要となるなどと記載されております。

(かもと)

商工労働部長さん、ありがとうございました。説明が省けまして感謝しております。大変な大部の資料でございまして、敬意も表したいと思っております。この報告書によりますと、先ほどもございましたように、中高年齢者、高校中退を含む中学卒ほど孤立無業者になりやすい傾向が見られたが、2000年代になると20歳代の若年無業者が孤立している割合が高まるなど、若年無業者にも孤立が拡大しつつあるということでございます。その結果、1996年には推計で74万6,000人だった孤立無業者が、2011年には162万3,000人と2倍以上の急速な増加となったとしています。この辺についての御認識はどうか、知事に伺います。

(知事)

数字はおっしゃったとおりでありますが、急速にふえているわけです。やはりいろんな要因がありますけども、経済が、あるいは企業活動が大きな変化をある意味で強いられていると、そういうことが1つあります。それから、社会も変化をしています。そういう変化に国全体といいますか、社会全体、そして人々の意識、行動というものがついていけない状況になって、それが孤立無業者という状況になっていると。ある意味で企業のほうは終身雇用制度をどんどん縮小していきます。臨時雇いのような職をふやしていく、しかしそういう職では不安定だから、やっぱり就職できないなと思う、そうするとそれは親のもとで暮らせば何とか暮らせるということになりますと、そこでやっていこうということになる、そういう生活になれると、新しいチャレンジをするということが難しくなる、やはり大きな変化があって、そういうものに人々が対応できない状況が、そういう形で現象としてあらわれておるんだろうと思います。

その大きな要因は、やはり戦後の日本はどんどん企業が成長していったわけです。雇用がふえたわけです。みんな高校を出、あるいは中学校を出、大学を出ても就職の場があったわけです。しかし、そういうのが変わってきているということが一番大きな状況なんです。したがいまして、経済を再興していく、これは容易なことじゃありません。しかし、マクロ的にそういうことをやらないと、この問題はなかなか解決していきませんし、しかし現実に就業しないでひきこもりというようなことになるわけですから、そこは国としてセーフティーネットのようなものをちゃんとやっていくということが次に、次善の策として必要になります。

そしてまた、地域社会も今度はさらに助けようということにならなきゃいけませんけれども、地域社会も大きな変化にさらされております。そういう大きな変化が起こっているということでありますから、簡単にこうすれば直るということにはなかなかならんわけであります。

それから、やはりそういう中で、高度成長期に非常に単純なパターンができたわけです。学校を卒業して大企業、中小企業でも就職すれば一生働いていけるというシステムだったわけですけども、そういうものが難しい状況になったわけです。そうすると、そういうものに対してどう対応するかということを考えなきゃいかんわけですけども、そこがまだうまくいってない。人々も生き方をどうするかとか、そういうことも考えなきゃいけませんし、そういう意味で職もかわるということをある程度想定もしなきゃいけませんし、あるいは子どものころから、あるいは大学に入ってからも、この場で池田議員がよく言われますけども、子どもたちにそういう変化が起こっている、どうするということをやはり意識をする、そういうことも大事になっておる、非常に大きな変化に基づく社会的な問題だというふうに思います。容易でないと思います。

(かもと)

私も同感でございます。厳しい世の中でございます。競争もますます厳しくなる、その中で我々としてどうあるべきかということを、やっぱりきちんと考えていかなきゃならないということでございます。

前回の9月の一般質問でも、この若年無業者という視点で質問させていただきましたけれども、仕事のありようというのは、ほぼ皆さん大体1日3分の1ぐらいを占めております。個人が充実した人生を送るために、大変重要でもありますし、お金を、単に仕事を得るためだけではなくて、その仕事から充実感を得る、そして人とかかわりながら、仕事を通じて社会に貢献し、みずからの存在意義を確認する大事な機会でもあります。社会にとっても、仕事についていない人が労働力として生産的な活動に加わることは大変重要なことでありますし、国の経済成長、あるいは将来社会制度を担う人をふやしていくという意味でも、こうした孤立無業者の皆さんが仕事を得るということは重要であると私は考えております。

この報告書では、孤立無業者は1人で住んでいる場合、収入も乏しく、将来的には生活保護を必要とする可能性が高いというふうに言っております。また、家族と一緒に住んでいる孤立無業者は、当面は生活に困窮することはなくても、家族が死別した場合など、自立した生活はより困難になるとしています。したがって、将来の就業者不足への対応のみならず、膨張を続ける社会保障費を抑制する上でも、対応が急がれる政策課題とこの報告書では言っておりますが、このことに関する知事の御所見を伺います。

(知事)

玄田教授あるいは国の社会保障審議会でもそういうことを指摘をされておるわけです。やはり経済といいますか、それは世界全体が変わっているということの影響を日本は受けているということの反映は非常に大きいわけですけども、そういう変化に対応して雇用をどうするのか、あるいは教育をどうするのか、あるいは経済全体を活性化するにはどうするのか、国としてマクロ的にやらなきゃいかん問題と、そしてしかし実際に無就業になられる方、孤立される方がおられるわけですから、そういう対策を社会保障という形で、セーフティーネットを強化していくということをやりませんといけませんが、やはり人々、我々全体も、親も子もこの世の中というか、大きな影響を受けて変化をしているんだということをやっぱり真正面に見ないといけません。そういう中でどういうふうにして生きていくのか、あるいはどういうふうにして教育を受けていくのか、そういうことを考えないと経済の再生といっても容易でありません。昔のような終身雇用が戻るということも難しいでしょう、世界の状況を見ますと。そしてまた、セーフティーネットをふやすといっても、財政の赤字は非常に大きいわけですから、財政をむしろ健全化しなきゃいかん。社会保障もほかでもどんどんふえるわけですから、そういう中でどうする、やはり厳しい状況にやっぱりみんなが向かい合っていく、そこで考えていく、そういうことが非常に大事な要素であるけども、国あるいは県あるいは市町村としては、そういう困っている方をやはり助けていく、そういうこともやっていかなければいけないというふうに思っております。

(かもと)

この生活保護費、市町村、そして県も大変な負担もございます。そういった意味からも、きちんと対応できるところはやっぱり対応していかなきゃならないなというふうな気持ちは私、持っておるところでございます。

さて、この同じ報告書に、島根県には2011年で推計約2,800人の孤立無業者がいるということになっております。この数値につきまして、現場感覚としてどうか、それぞれ商工労働部長、そして健康福祉部長にお伺いいたします。

(商工労働部長)

私のほうからは、この報告書の孤立無業者とは少し定義が異なりますけども、商工労働部で15歳から39歳までの若年無業者の就労支援を行うしまね若者サポートステーションを所管いたしております。平成21年度の開所から本年1月末までに、このサポートステーションに来られた相談者の実人数は、約500人ぐらいというふうに思っておりますが、そのおよそ2割の方が、孤立無業の状態にあるのではないかというふうに推定しております。

こうしたことと、内閣府が就業構造基本調査に基づき行った県内の若年無業者数の推計や、この報告書によります年齢区分別孤立無業者数の割合を参考に推測いたしますと、先ほどの2,800人と大きな違いはないのではないかというふうに感じております。

(健康福祉部長)

健康福祉部におきましては、さまざまな相談機関におきまして相談を受け付けているところでありますが、孤立無業者としての相談ではありませんが、これとかかわりの深いひきこもりの相談について申し上げますと、まず松江、出雲、浜田、益田の4市に設置されています子ども・若者支援センターでは、ひきこもりや不登校、若年の無業の状態にある40歳未満の方の社会参加を目的に、相談や支援を行っております。このセンターで平成23年度中に受け付けた相談2,293件のうち、20歳以上のひきこもりの相談は403件でありました。

このほか、各保健所や心と体の相談センターでは、年齢を問わずひきこもりの相談を受け付けており、平成23年度中に受け付けた相談件数は、各保健所で232件、心と体の相談センターで46件となっており、これらを合計しますと年間約700件で、年々増加傾向にあります。

ひきこもりにつきましては、相談につながること自体が少ないこともあり、その全体像はつかめておりません。しかしながら、こうしたひきこもりなど、支援を要する方は数多くおられるものと思われます。

(かもと)

確定的なことは言えない、もちろんだろうと思っております。ある程度の認識を共有した上で、ちょっと具体的な話を聞かせていただきます。

この報告書では、孤立無業者の代表的なイメージとして、他者との接触を持たず、仕事を求めて就職についてサポートできる他者にみずから出会おうとしておらず、かといってインターネットを積極的に利用しているかというと、そうでもないとしております。したがって、孤立無業者の自立を目指すには、まず本人と出会うということが必要であるとしています。そして、キーワードはアウトリーチだということでございます。ひきこもり状態の人たちに対し、支援者が自宅まで出張訪問し、本人や家族に個別相談などの働きかけを行う行為もその一つだということでございます。

さて、昨年9月の一般質問でも行いました、先ほど紹介あったしまね若者サポートステーション事業、厚生労働省が自治体と共同し、働くことに悩みを抱えるニートなどの若者の職業的自立を目指し、包括的に支援する事業でございますが、前回はその事業の成果について伺いましたけれども、一方でこの事業からは対応できない無業者の方もいるはずでございます。それについてどのように対応しているのか、今後どのように対応していくのか伺います。

(商工労働部長)

サポートステーションでは、相談者が本人の心身の不調などで相談が続けられなくなった場合には、担当者が電話で本人の状況を確認した上で訪問支援に切りかえたり、医療機関などの支援が必要と思われる方については、その機関につなげるようにするなど、引き続き支援するように努めております。

また、サポートステーションの支援対象となりません40歳以上の方については、その方が松江市在住であれば、島根県社会福祉協議会に委託しておりますパーソナル・サポート・センターに御紹介をしているという状況でございます。今後もサポートステーションの対象とならない方々については、御本人とよく相談した上で、他の適切な支援機関に紹介して、支援をつなげていくという考えでございます。

(かもと)

ひきこもりなどに対するアウトリーチ支援の現状と今後の取り組みについて伺います。

(健康福祉部長)

ひきこもりや孤立無業者の状態はさまざまであり、個々の状況に応じまして就労を目指すものや社会参加を目指すものなど、多様な支援が必要であります。また、相談に消極的な傾向にあるため、アウトリーチは有効な手法であると考えます。

そうした支援を必要とする方につきましては、各保健所や子ども・若者支援センター、さらに民間団体でもアウトリーチによる支援を行っています。このほか、来年度からは県社会福祉協議会に総合相談窓口を設置し、経済的困窮や社会的孤立の状態にある生活困窮者を対象に、年齢にかかわらず、アウトリーチを取り入れた支援を行っていくこととしております。

(かもと)

こういった事業ですね、これにかかわる財源、今後はどうなっていくのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

(健康福祉部長)

困難を有する子ども、若者の支援につきましては、国の財源などを活用しながら、市町村において総合相談窓口の設置や、民間団体を含めた支援ネットワークなどの支援体制が整備されるよう、平成26年度までの期間に重点的に支援を行うこととしております。

また、県としましては、国の財源措置が期間限定の臨時的なものであることから、こうした支援と並行しまして普通交付税措置を行うなど、市町村に対する恒常的な財源措置を講じるよう、さまざまな機会を通じて国に要望しているところであります。

平成27年度以降の取り組みにつきましては、市町村における取り組み状況や国の財源措置の状況を踏まえ、必要に応じて検討してまいります。

(かもと)

先ほど商工労働部長から紹介のありましたサポートステーション事業、そしてパーソナル・サポート事業もそうですけども、なかなか先が見えないというような状況でございます。県としてもしっかりと対応をこれからお願いしたいと思っております。

ちなみに、ちょっと細かいことでございますが、先ほどのしまね若者サポートステーション事業、そしてパーソナル・サポート・モデル事業の訪問支援について、公費負担の回数の制限があるかどうかをそれぞれお伺いいたします。

(商工労働部長)

サポートステーション事業のほうでございますが、訪問支援については基本的に1人につき3回までとしておりますけども、必要に応じて、3回に限らず柔軟に対応しております。パーソナル・サポート・モデル事業のほうの訪問支援については、回数制限はございません。

(かもと)

ひとつよろしくお願いいたします。

このアウトリーチの担い手の人材育成、確保について伺います。

この報告書、アウトリーチを担う専門知識や経験を有する支援人材の育成が重要であるということを言っております。ひきこもりを始めとする孤立無業者に対しては、粘り強い交渉術と繊細な支援スキルを必要とすること、時間をかけて丹念に接触し、焦りと諦めの中にある家族に励ましと適切な指示や助言を行えるのは、自立支援に関する卓越した技能を持つ者でなければ不可能であると断じておられます。それぞれの関係機関、団体の人材育成、確保の状況について商工労働部長、そして健康福祉部長にお伺いいたします。

(商工労働部長)

訪問支援の担当者の人材育成、確保についてでございますが、サポートステーションで訪問支援を行っている担当者につきましては、内閣府や厚生労働省が行います訪問支援や相談支援に関する研修に参加させまして、スキルアップに努めております。

また、これから訪問支援に携わる担当者の方については、県外のNPO法人が実施いたします訪問支援員養成講座と、OJT研修によって養成をしているところでございます。こうした訪問支援ができる者につきましては、現在2名おりまして、松江と浜田のサポートステーションを巡回して担当しておりますが、来年度は訪問支援員を2名追加で採用いたしまして、松江、浜田に1名ずつ常駐させる計画でおります。

(健康福祉部長)

健康福祉部では、困難を有する子ども・若者支援事業により、ひきこもりなどの若者を支援する人材育成のための市町村や民間団体の取り組みに対して助成を行っております。ただし、現状は相談等に携わる方の知識の向上や支援の輪の拡大を目的としたものであり、アウトリーチに特化した専門的な人材育成は行っていません。

また、ひきこもりなどのアウトリーチ支援が比較的に新しい取り組みであるため、専門的な知識や経験を持つ人材が確保されているとは言いがたい状況にあります。アウトリーチは、社会との接点が乏しい方に効果的な支援と認識しており、今後市町村や民間団体が子ども・若者支援事業により訪問支援に携わるスタッフのスキルアップや、新たな人材の確保に取り組むことができるよう支援してまいります。

(かもと)

先ほどの健康福祉部長の御答弁、胸襟を開いた御答弁だったと思います。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。

私は、孤立無業者対策にはさまざまなアプローチがあると思っております。その中で教育が孤立無業者に対して果たす役割は大きいと思っております。学校教育の中でキャリア教育を推進していくことは、将来児童生徒が孤立無業者とならないようにするために有効であると思いますが、教育長に御所見を伺います。

(教育長)

御質問ございましたキャリア教育でございますが、この目的は職業について学ぶことにとどまらず、人間関係をつくっていく力、あるいは課題を解決していく力、これらを育むことだと思っております。そうした面で、社会人、職業人としての自立を促すことにつながり、将来子どもたちが孤立無業者とならないようにするためにも、意義のあることだというふうに思っております。

(かもと)

ちょっと具体的にお伺いいたします。

中学校、高等学校におきましては、キャリア教育の中で社会人、職業人講話を実施しておられます。講師は大変立派な人物で、優秀な業績をおさめる企業の経営者や技術者、担当者が多いと伺っております。私はそれもよいと思いますが、厳しい競争社会の中で思うようにならず、失職された、解雇された方たちが、逆境に負けずに復職し、元気に活躍されているお話や、今奮闘中の方のお話を聞くことも役に立つと思っております。どのようにお考えか、教育長にお伺いいたします。

(教育長)

子どもたちを社会に送り出す前に、たくましく人生を生きてこられました経験者の方々に協力をいただきまして、生徒の参考となる話を聞かせるということは、大変貴重なことだというふうに思っております。

現在、御紹介もいただきましたが、各中学校や高校では、今申し上げました観点から講話や講演の機会を設けております。講師には、議員のおっしゃいましたような方々も呼んで講師をやっていただいております。そのほかさまざまな経歴、経験をお持ちの方々にお願いをしているというふうに聞いております。

今後とも、子どもたちには、人生は順風満帆なことばかりではない、挫折や失敗もあり、そしてそれを乗り越える力が必要である、こういったことを体験に基づいて話していただける機会を、各学校で積極的に設けてもらいたいというふうに思っております。

(かもと)

こういった講話とかが島根県内全県でどこでも普通高校の皆さんも聞ける、どなたも聞けるということになると、ちょっとまだ進んでないと思うんです。その辺について何かありましたらお伺いしたいと思います。

(教育長)

各学校によって状況は違うと思いますが、例えば昨年度ですが、松江、出雲のほうで高校が集まりまして、これは8校ほど参加しておりますが、一緒になって講師をお呼びをして、これは特にNPO法人の青少年サポートの相談員さんにお話を聞く機会も設けておりますし、各学校でもやっております。

それで、今お尋ねございました中で、例えば具体的に申し上げますと、高校でいきますと高校中退後に自力で起業された方とか、あるいは先ほど申し上げましたNPO法人の方とか、あるいは中学校でもUターンをされた方、あるいは1回失敗をしたけど、また改めて起業されたとかという話も聞いております。

したがいまして、先ほどおっしゃいましたような立派な経歴の方の講話にしましても、実は講話の中ではやはり順風満帆だけではなくて、いろいろ失敗した経験を乗り越えて、最終的に成功したというお話も中心にされているというふうに聞いておりますので、今後とも各学校でいろんな工夫をしながら、今申し上げましたようなお話が聞けるような機会を設けていきたいというふうに思っております。

(かもと)

ぜひシステマチックにやっていただきたいというふうに思っております。

最後に、孤立無業者対策あるいは無業者対策における教育の役割は大変重要だと思っております。そして、教育の中心現場は何といっても家庭だと私は思います。その意味で、教育委員会を中心に県庁組織が連携しましたふるまい向上プロジェクトは、大変重要な取り組みだと考えております。このプロジェクトでは、学校、幼稚園、保育所、家庭、地域が連携し、社会全体で取り組んでいくことが大切だとしています。もっともな御指摘だと思います。

ただ、この取り組み、県民目線で見ると、いま一つ何をしたいのかはっきりしないのではないかと思っております。このプロジェクトで具体的にどのような青少年を目指し、どのような行動をとられることを目標とするのか伺います。

(教育長)

このふるまい向上プロジェクトでございますが、今、きょう実は御質問いただきました孤立無業者の話もございました。そういう観点でもこのプロジェクト、重要な事業だというふうに思っております。

どういう青少年を目指すかということでありますが、3点ございます。1つは自立して生きる、これはきょうのお話もございました職業の問題も含めてでございます。自分で考えて生きるということ、それから2つ目が人とともに生きることができる、それから3つ目が社会、地域に貢献できる、こういった3つの人材の育成を目的といたしております。

具体的な行動としては、やはり基本的な生活習慣を身につける子ども、それから礼儀作法、挨拶などルールやマナーを大切にする子ども、それから相手を思いやり、人とコミュニケーションを上手にとれる、あるいは将来の夢や希望に向かって努力する、こういった子どもたちを育てていきたいということで取り組んでおります。

(かもと)

今から約150年以上も前、1850年代の半ば、日本で言うと明治維新の前でございますが、「トム・ブラウンの学校生活」という一冊の本がイギリスで出版されました。主人公のトム・ブラウンのイギリスのパブリックスクール、私立の中学校でもエリート校に当たりますけれども、学校、寮生活をつづった本でございます。1日24時間、12歳ぐらいから19歳ぐらいに至るまでの少年たちが一緒に共同生活を送る中で、さまざまなトラブル、けんかやいじめなどがあり、それを乗り越えながらトム・ブラウンが成長していく姿を描いております。少なくともイギリスでは今から150年以上も前からいじめはあったということであります。

いじめはすぐに撲滅できるということについては、なかなか楽観的になれないと思うと同時に、このいじめへの対応こそが、今質問している孤立無業者あるいは無業者対策につながるとも感じております。それは、いじめをなくせば孤立無業者が減るということを申し上げているのではなくて、いじめへの対応を考えたときに、いわゆる道徳教育について、今まで以上に真剣に考えていかなければならないということに突き当たります。この道徳教育こそが人間の自立性、社会性、協調性を確固たるものにしてくれる礎だということを、この本を読んで私は感じます。

トム・ブラウンは、親友のアーサーに、パブリックスクールで何をしたいか、何を得ようと思っているのかと真顔で問われたときにこう答えます。僕がこの学校に置き土産として残していきたいものは、それは下級生を一度もいじめたこともないし、上級生に対しても決して後ろを見せたことがない人間の名前だよと。この本が出版されたおよそ40年後に「武士道」という本を書いた著名な農学者、教育学者の新渡戸稲造は、このトム・ブラウンについてこう言っております。トム・ブラウンの子どもらしい願いを聞いて我々はほほ笑む、けれどもこの願いこそ、その上に偉大なる規模の道徳的建築を建てうべき隅の首石であるということを誰か知らないであろうかと。つまり、弱い者をいじめない、強い者に後ろを見せないというこの単純な規範が、道徳教育の根幹だとおっしゃったのだろうと私は思っております。

先日の一般質問の中で園山議員の紹介された、会津藩の藩士の子どもたちの中で守られていた什の掟の中には、1つ、ひきょうな振る舞いをしてはなりません。1つ、弱い者をいじめてはなりませんとあります。古今東西、道徳教育の中心部分というのは変わらないのではと質問を聞きながら思いました。

孤立無業者を含め、無業者の方々はさまざまな課題を抱えた人たちであり、しかもその全体像はなかなか見えないという問題もあります。国の政策が今後どうなるかという不透明な部分もあります。今我々が取り組まなければならないのは、県内のこの課題の全体像を把握する努力はもとより、今目に見える課題にもう一歩踏み込むという姿勢ではないかと思います。

以上申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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