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島根県議会における主な質問(平成25年(2013年)9月定例会一般質問)

平成25年(2013年)9月定例会(一般質問)

平成25年9月定例会一般質問項目

 

〇7月中旬の安来市の小竹地区を中心に襲った大雨災害と現在及び今後の対応について

 

〇ダムの修繕、長寿命化と今後の予定について

 

〇平成25年11月5日、10日に予定されている原子力防災訓練について

 

〇島根県の観光振興の目指す方向性について

 

〇中山間地域、離島における買い物弱者を対象とした宅配・移動販売サービスの現状と課題について

 

〇中山間地域における農地整備について

 

以上

 

 

 

 

1.7月中旬の安来市の小竹地区を中心に襲った大雨災害と現在及び今後の対応について

(かもと)

今年7月からの大雨によりまして、島根県はもとより、鳥取県、山口県、広島県、東北・九州地方、最近では京都府を中心とする近畿地方でも犠牲者や大きな損害が出ました。

お亡くなりになられた方に対し謹んで哀悼の意を表すとともに、被災された皆様方が一日も早く日常生活に戻れるように祈念致します。

今議会におきましても初日の知事の所信表明をはじめ、代表質問、一般質問の中で島根県における7月28日以降の大雨による島根県の被害状況、災害対応、今後の復旧の見通し、今後の大雨に対応する予防措置などについて論戦が交わされました。通信手段・連絡体制の充実などについても指摘がありました。

日本では毎年台風や集中豪雨などにより洪水、土砂災害が多く発生しますが、このところ過去にない大雨・洪水・土砂災害、局地的集中豪雨が発生しております。とくに最近は各地で記録的豪雨が頻発し、極めて短時間に住宅浸水や土砂災害が発生し深刻な被害をもたらしています。一部新聞報道によれば気象庁の異常気象分析検討会は広い範囲で猛暑となり、地域によって局地的な豪雨や極端な少雨になった今年の夏は「異常気象」だったと位置付けているということであります。また、同会の会長である木本東大大気海洋研究所教授は「地球温暖化が猛暑に影響した可能性も指摘。今後は気温上昇とともに『局地的な強い雨もさらに増え、強さも増すのではないか』と話した。」ということであります。

大雨災害については今後も万全の対応を期していかねばなりません。

また、激甚災害の指定の基準についても議論がありました。災害にあわれた地域にとっては同じ程度の災害であっても、公共災害にあっては原則市町村単位で合計の被災額が基準に満たなければ、国の補助率のかさ上げがないということであります。財政の厳しい自治体においては大きな負担となります。

島根県においては7月28日以降の津和野町をはじめとする県西部の被災状況があまりにも過酷であったため、その陰に隠れがちではありますが、それをさかのぼること約2週間、15日の安来市の小竹、赤屋地区を中心に襲った大雨が発生しております。15日には1時間100ミリ以上の大雨を観測し、地域の住民の一時避難、断水、土砂崩れ、河川の護岸の崩壊、橋の決壊、道路の寸断、田んぼの欠落や瓦礫の侵入など、15日に現場を見て回りましたが、水の力の強大さを改めて認識するとともに、同地域のみなさまのご労苦とご心配に深く思いを巡らせました。

そこで、

① 7月中旬の安来市の小竹地区を中心に襲った大雨災害に対する知事の所感を伺います。

 

(知事)

嘉本議員の御質問にお答えをいたします。

最初の私への質問は、7月中旬の安来市の小竹地区を中心に襲った大雨災害に対する所感を問うと、こういうことでございます。

お答えに入る前に、この地区におかれまして、被害を受けられました皆様方に対しまして、改めまして、心からお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復旧工事が進むよう、全力で取り組んでまいります。このことを申し上げて答弁に入りますが、7月15日、安来市伯太では、観測史上最大となる時間雨量100ミリを記録し、小竹地区では数時間で200ミリを超える大雨となり、大きな被害が発生をしました。このときは、松江市、安来市、米子市などでも非常に局地的な集中豪雨がありましたが、この夏の最初の集中豪雨であったんではないかというふうに思われるところでございます。

被害の内容としましては、小竹川などの中小河川の損壊、道路の陥没、崩落、農地の農業用施設被害のほか、浄水場の冠水により100戸を超える世帯で断水が発生し、数日間、給水車による給水活動が続けられたわけであります。県としましては、この地区におきます河川、道路、農地、林道等の復旧工事などが一日も早く進み、皆様方の生活に不便、不自由がないように、全力を挙げて取り組んでまいります。

 

 

また、今現在、

② 大雨による土木、農林を含む被災状況を伺います。

(防災部長)

まず、7月15日からの大雨による安来市内の被災状況についてでございます。

人的被害はございませんでした。住家被害は、床上浸水2棟、床下浸水23棟でございました。公共土木施設につきましては、河川施設が53カ所、3億3,000万円、道路施設が17カ所、5,000万円の被害でありました。農林関係施設につきましては、農地、農業用施設が109カ所、2億円、治山、造林施設が6カ所、1億円の被害でございました。また、農作物等の被害が700万円という報告を受けております。

(かもと)

③被災に対する県の対応と今後の復旧見通しを伺います。

 

 

(農林水産部長)

県の対応と今後の復旧見通しについてということでございますけれども、農地、農業用施設、林道の災害復旧事業につきましては、安来市等の市、町が実施することになりますが、これについては、10月からの災害査定終了後、速やかに工事に着手することになります。また、安来市内で発生いたしました山腹崩壊の復旧につきましては、国の補助事業を活用いたしまして、県が実施することとしておりますが、これについては、本年度、所定の手続を経て、速やかに工事に着手してまいりたいと考えております。

いずれにしましても、被害が大きかった小竹地区を始めといたしまして、被災された地域の皆様方が、農林業の生産活動に支障を来さずに、安心して生活を送っていただけますよう、市、町と一緒になりまして、災害復旧事業の早期完了に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

(土木部長)

被災に対する県の対応と今後の復旧見通しについてでございます。

7月15日の豪雨によりまして、安来市小竹地区を中心に、河川の護岸の決壊や道路のり面の崩壊が発生しました。被災直後から、崩土の取り除きを行うなど、交通の確保に努めてまいりました。

また、9月9日から13日にかけまして、県の公共土木施設33カ所の災害査定が完了したところであります。一日も早く、被災地域の方々が安心して暮らせるよう、速やかに工事着手し、早期復旧に努めてまいります。

 

 

 

 

 

2.ダムの修繕、長寿命化と今後の予定について

(かもと)

次にダムの修繕、長寿命化と今後の予定について伺います。

新聞報道によれば、8月24日未明に島根県西部を襲った豪雨は、降雨量と比べ主要河川の氾濫が少なかったのが特徴であったということであります。浜田市内について言えば、大長見ダム、建設途中の第二浜田ダムが下流への被害を最小限に食い止めたということであります。

治水、利水などの役割を果たすダムの重要性はいまさら言うまでもありません。洪水から多くの住民の生命と財産を守る重要な施設でもあります。

しかしながら、過去の県議会でもダムも含め社会基盤の老朽化が指摘されています。そこで、

① 土木部の管理するダムの竣工履歴、年間の経常経費はいくらか、修繕費の推移を伺います。

 

 

(土木部長)

土木部の管理するダムの竣工履歴、年間の経常経費、修繕費の推移についてお答えをいたします。

土木部では現在、12ダムの管理を行っております。これらのダムの竣工履歴につきましては、昭和30年代に完成したものは浜田ダムなど2ダム、昭和40年代は布部ダム、昭和50年代は八戸ダムなど3ダム、そして平成になってからは、御部ダムなど6ダムが完成しております。

人件費、光熱費、点検費用等の年間の経常経費につきましては、平成20年度から24年度までの5カ年では、平均で約2億6,000万円でございます。

また、同期間の修繕費につきましては、修繕内容により異なっておりますが、少ない年は7,000万円で、多い年は約1億6,000万円となっております。

(かもと)

 

また、ダムの果たす役割の重要性に鑑みて、土木部を始め関連部局におかれては従来から他の施設に比べより重点的に点検、修繕を行い、設備の健全性を維持し、長寿命化を図っているところであると理解しておりますが、

②県の管理するダムについて、どのように点検、修繕を行っているか、改めて伺います。

県有施設管理の在り方の質問で私が繰り返して申し上げておりますように、施設管理には手順があるとされております。

それぞれのダムにはそれぞれの特徴があります。ダムごとに詳細な点検を行い、データ化し、部品、部位ごとに優先順位を定めた補修、修繕計画を立てる。異常があったところを場当たり的に補修、修繕するのではなく、計画的に行えば、費用も縮減でき、平準化もできます。ダムを安全に長く使い続けられます。

最近、国土交通省では、ダムの機械設備については長寿命化計画のマニュアルを策定されたと聞いております。これを良い機会に県の管理するダムに長寿命化修繕計画を策定されるのが良いと思いますが、

③県の管理するダムについて、長寿命化修繕計画策定の意向を伺います。

 

 

 

 

(土木部長)

次に、ダムの点検、修繕についてお答えをいたします。

議員御指摘のとおり、土木部農林水産部が管理するダムにつきましては、従来からより重点的に点検、整備を行っており、具体的には、職員がダムの堤体のひび割れ状況など、目視で確認する日常点検と、またダム内部での異常な漏水やゲート設備の動作、警報局舎におけるサイレン、スピーカーの動作等を確認する、毎月の点検を行っております。さらに、毎年、電気通信設備等の機器につきましては、専門業者による詳細な点検を行い、劣化状況等に応じまして、補修、修繕、更新を行っております。

次に、ダムの長寿命化修繕計画の策定についてお答えをいたします。

ダムの長寿命化につきましては、平成23年度、国において、機械設備に関するマニュアルが策定されており、今後、ダム本体などの土木施設及び電気設備に関するマニュアルも順次策定される予定と聞いております。長寿命化計画の策定は、ダムの維持管理費の縮減と平準化を図り、ダムの治水、利水機能を確実に発揮していく上で必要と考えており、今後、国等の動向も踏まえながら検討してまいります。

(企業局長)

 

 

企業局のけるダムの点検、修繕の状況と長寿命化計画の策定の考えについてお答えをいたします。

企業局では、水力発電用の三成ダム及び木都賀ダムの2つのダムを持っておりまして、それぞれ現場に職員を配置して管理をしております。巡視や点検は、電気事業法で定める規定に基づき実施しておりまして、ダムの堤体やゲートの状況など、毎日目視で確認をし、またダム内部の漏水調査や非常用発電機の動作確認などは毎月行っているところでございます。

電気通信設備などは、毎年、詳細な点検を実施しておりまして、これらの点検結果を踏まえて、修繕や更新工事を計画的に行っております。

次に、長寿命化計画の策定につきましては、企業局が管理するダムにおきましても、治水ダムと同様、維持管理費の縮減や発電機能の確実な発揮の観点から必要であるというふうに考えております。今後の国のマニュアル策定の動きなどを見ながら、土木部、農林水産部と足並みをそろえて、計画の策定を検討してまいります。以上であります。

 

 

 

3.平成25年11月5日、10日に予定されている原子力防災訓練について

(かもと)

 

次に、今年11月5日、10日に予定されている原子力防災訓練について伺います。

さる7月8日に実用発電用原子炉に係る新規制基準が施行され、今月13日に島根県議会の総務委員会が開催され、そこで新規制基準についての説明が行われました。その後開催された島根県原子力発電所周辺環境安全対策協議会でも同様の説明が行われました。重大事故を考慮していること、最新の知見を既存施設にも反映されるよう努力されていることは伺われるものの、原発の稼働、稼働しないにかかわらず事故の起こる可能性がないとは言えないわけで、原子力防災及び防災訓練には万全を尽くさなければなりません。

① 今回の原子力防災訓練の目的、内容と重点を置く点は何か伺います。その際、前回の防災訓練と異なる点、前回の防災訓練で今回に活かされた点も含め伺います。

 

私の選挙区である安来市におきましても本年3月に広域避難計画が策定され、原子力災害に備えて防災ガイドブックを配布し、予想される問題とその対応について周知活動が行われております。先月8月26日から安来市の地区ごとに参加者が募られ、主に避難先のことを知ることを目的として岡山県の避難先の視察をされています。今月末まで10回に分けて行われる予定で約110人が参加予定だということでございます。視察では、バスで避難ルートをたどりながら避難先へ向かい、現地では、防災担当者などからまちの紹介や防災体制などの説明を受けたほか、避難先の市町に到着して最初に立ち寄る「避難経由所」などを確認されています。避難ルートについてはあまり懸念が出なかったようではありますが、いざ本当の災害ということになると今のところなかなか想像力が及ばないのでは、というような印象を持ちましたが、避難に向けて小さい歩みではありますが、有意義な第一歩であると思います。

また、数ある課題がある中で、福島原子力発電所事故においては、手配された避難用のバスに要員が集まらず、必要とするそれぞれの自治体に割り振りができなかったというようなこともあったようであります。生きるか死ぬかの瀬戸際の極限状態の中でどのように物理的な輸送手段とそれを操作する要員を確保し、要援護者の避難を実現するのか。このこと一つとっても国が主導して県、市町村、事業者などと協力しながら対応していかねばなりません。

② 要援護者の避難が大きな課題の一つであると思いますが、今後の対応について伺います。

(防災部長)

次に、今年度の原子力防災訓練についてであります。

今年度は、これまで訓練に参加をいただきました方々のより訓練に参加しやすい環境をという御意見も踏まえまして、県の実施します訓練としては初めて2日に分けて訓練を実施することといたしました。まず、11月5日火曜日は、国、県、市、警察あるいは消防などの防災関係機関、行政機関が、原発事故の初動対応の訓練を実施するということを計画をしております。また、11月10日日曜日でございますが、一般住民の方、あるいは社会福祉施設の方々などにも参加をいただき、実際に避難所へ避難するという実動訓練などを実施するということを計画をしております。

次に、これまでの訓練と異なり、新たに今回重点を置きたいと考えている項目は、次のようなことでございます。

1つは、要援護者の方々の避難対策をさらに充実させていくということから、障がい者の方々が入居しておられる施設の実動訓練を行い、それを通じて、避難計画の作成したガイドラインの検証を行いたいと思っております。

また、在宅の要援護者の方と、これは見立てた方を地域の自主防災組織の方々や、あるいは消防団の団員の方々などが一時集結所まで搬送するという訓練を実施したいと考えております。

また、新たに整備しました通信機器の使用に習熟するということから、充実、拡充をいたしましたテレビ会議システムを使用した訓練ですとか、新たに装備をいたしました可搬式のモニタリングポストを使用した訓練というものを実施したいと考えております。

また、これまでの訓練を踏まえて、あるいはその訓練に参加された方々からいただきました意見を反映して、次のような変更を行いました。

1点目は、広域避難訓練の関係でございますが、ことしは松江市の島根地区の方々に奥出雲町のほうへ住民避難訓練を実施をしていただきたいというふうに計画をしております。

また、避難を呼びかける際の住民の方々への周知につきまして、新たに防災メールを使用するなどして、できるだけ多くの広報手段を用いて、確実に情報が伝わるというふうに努めたいと思っております。

また、先ほども申しましたが、緊急時に行うモニタリングの訓練といたしまして、昨年度、追加的に整備をいたしました可搬型のモニタリングポストを初めて用いて、新たに設定をしたポイントでも放射線の観測を行うという訓練を実施いたします。

また、住民避難訓練にあわせまして、これまでも実施しておりました防災学習の内容を一層充実させていきたいというふうに思っております。

今申しましたような訓練を繰り返して実施することによって、原子力防災対策の実効性を少しずつではあっても高めていきたいというふうに考えております。

3点目に、要援護者の方々の避難への対応についての御質問をいただきました。

これまで、要援護者の方々の避難ということには優先的に取り組んでまいりました。できることから対応していくという方針で、次のようなことを対応してまいりました。

まず、要援護者の方々の避難先を、県内はもとより県外の市町村に確保し、さらに広域福祉避難所というものについてもお願いをして確保いたしました。

また、万万が一、災害が発生した際に、社会福祉施設ですとか、あるいは病院ですとかにどういうふうな対応をしていただくのかということを定めました避難計画作成ガイドラインというものを策定をいたしました。

さらには、社会福祉施設において、実動の原子力防災訓練を実施をする、そういうことをしてまいりました。

一方で、これらの方々が安全で迅速な避難をされるためには、さまざまな課題があります。主なものとしましては、例えば避難をなさるときに、それを支援するお医者さんですとか、看護師さんですとか、あるいは介護に従事される方々をどういうふうにその場に派遣する、あるいは確保するのか。そういう方々、あるいは資材を調達する仕組み、そういうことがまだできておりません。

また、避難手段として、バスですとか救急搬送車両ですとか、あるいは自衛隊等の車両やヘリコプター等の確保をどういうふうにするのか。地元の交通機関の方々とどういうふうに調整するのかと。そういう調整の仕組みを構築しなければなりません。

さらには、万万が一、避難をしていただいて、さらにその避難が長期化した際に、2次避難先となる社会福祉施設等をどういうふうに確保するのか。そういう仕組みの構築も今後考えなければいけないことでございます。

ただ、こうした課題につきましては、私ども県あるいは実際に避難を担当します市だけではとても対応できません。あるいは、県内の交通関係の事業者の方だけでもとても対応できないということであることから、これまでも国が主体となって対応するように強く要請をしてまいりました。国におきましては、この9月3日に開催されました原子力防災会議、これは内閣総理大臣が議長となり、全ての国務大臣が議員となられる、そういう会議でございますが、その原子力防災会議で、原子力発電所の所在地域ごとに、国あるいは地元が連携をした作業チームをつくって、そこでそれぞれの地域が抱える課題解決に向けて検討するということが決定をされ、9月中旬に国から今後の進め方について説明を受けたところでございます。

私どもといたしましては、今後は、この作業チームの作業を通じて、国などと一緒に要援護者の方々の避難対策を進めてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

4.島根県の観光振興の目指す方向性について

(かもと)

次に島根県の観光振興の目指す方向について伺います。

現在155か国が加盟している国連世界観光機関によれば、今から約30年前の1980年には3億人に満たなかった世界各国の外国人訪問者数は昨年2012年には10億人を超え、世界不況やインフルエンザなどの世界的な事件や事故の起こった年を除いては、増加の一途をたどっています。この間平均4%以上で増加していることになります。

2012年、世界で一番外国人訪問者の多い国はフランスで約8,300万人、次がアメリカで約6,700万人、第3位が中国で約5,800万人となっており、日本は約800万人で33位であります。

一方、日本の観光状況についてみてみますと、以前議会でも指摘されていますが、平成21年までは統一的な観光入込客統計に関する基準がなかったため、未だに統一的な基準に基づく全国的な比較などができない状況です。したがって、国の発行する観光白書でも宿泊旅行者数の推移を示しています。日本人の国内宿泊旅行者数(延べ数)は1990年代にほぼ頭打ちとなり、2003年以降は減少に転じているということであります。国民一人当たりの「宿泊旅行回数」、「宿泊数」も減少傾向にあるということであります。

都道府県の観光状況についてみてみますと、直近の平成24年の観光入込客統計では47都道府県中、34都道県が報告しており、島根県も報告しております。それによれば、34都道県中25位ということであります。どのように解釈すべきかについては議論がありましょうが、少なくとも人口が少ない島根県とすれば頑張っていることがうかがえるのではないでしょうか。しかしながら、宿泊旅行統計調査による平成24年の都道府県別延宿泊者数を見ると47都道府県の中で44位と改善の余地もあるとも思われます。

こうした情勢の中で、

① 平成24年までの市町村別観光客数の推移とそれをどのように分析しているか伺います。

 

 

また、こうした市町村の観光の動向、島根県全体の観光の動向を踏まえながら、島根県として、

② 島根県内の観光振興の課題をどのようにとらえているか伺います。

今から7年前、2006年に議員立法により観光立国推進基本法が制定され、観光を21世紀における日本の重要な政策の柱として位置付けることになりました。

これを受けて2007年に観光立国推進基本計画が策定され、2008年には観光庁が発足してこの推進を図り、昨年2012年には同計画が改定されています。

島根県でもご案内のとおり、2008年に議員提案により、しまね観光立県条例を制定し、観光を本県の主要な産業として位置付け、県の責務として他県や市町村などとの連携による広域観光の取組促進や観光資源の発掘の支援などを規定しています。

こうした流れの中で、島根県においては「しまね観光アクションプログラム」を平成21年度に県、市町村、観光関連団体・事業者、県民がそれぞれの役割を担いながら観光立県に向けた取り組みを進めるためのガイドラインとして、また、「島根総合発展計画」における観光施策推進のための個別計画として策定されたというふうに理解をしております。同アクションプログラムの期間は平成21年度から平成23年度で、終了しております。観光振興は島根県総合発展計画の第2次実施計画に引き継がれておりますが、政策レベルで2ページ、施策レベルで4ページが割かれ、政策レベルでは観光振興の目的、現状と課題、取り組みの方向性などについて、施策レベルでは、地域資源を活用した観光地づくりの推進、情報発信等誘客宣伝活動の強化を二本の柱として、平成27年度までの目標値を設定し、主な事業を挙げられています。

しかしながら、第二次実施計画は大綱的なものであって、直近の国内外の観光の動向、先程の国が昨年改定した観光立国推進基本計画を踏まえたものではありません。2020年には東京オリンピック開催という大きな要素も加わりました。また、県内の大方の行政・団体・事業者・県民が納得できる島根県の観光振興の目指すわかりやすい方向性、石見銀山・隠岐ジオパーク・石見神楽に代表される地域的な特性、人材育成を含む地域の有効な観光推進体制、県民の意識啓発などの重要な点について、どのような具体的な取り組みをするのかとうような総合的な観光振興の計画ではないと考えます。節目を迎え総合的な観光振興計画の策定が必要と考えますが、

③ 観光振興計画など目標となる計画策定の意向について伺います。

(商工労働部次長)

私から、観光について3点の質問にお答えいたします。

まず、市町村別観光客数の推移と分析についてです。

県の観光動向は、平成20年をピークに、その後増減を繰り返しながら推移しております。県全体の入り込み客数は、この4年間で1.6%増加し、宿泊客数は5.3%の減となっております。これを市町村ごとに見てみますと、観光客数、宿泊客数ともに、増減にはばらつきがあります。その要因も経済状況等を含めさまざまなものがございます。

こうした中で、地域の取り組みに特徴のあると思われる市町村の紹介をいたしますと、入り込み数で見ますと、平成20年に比べ、海士町が47%と高い伸びを示しております。また、宿泊者数で見ますと、津和野町でそれまで減少傾向にあったものが、平成20年度から増加に転じ、この4年間で41%増加しております。海士町でも、入り込み数の増が着実に宿泊者数の増につながっており、海士町の宿泊は平成20年に比べ16%の増となっております。

これらの市町村の特徴としましては、津和野町では、観光協会や民間事業者が主体になった誘客対策、またその地域の資源の利活用に取り組んでおられます。また、海士町では、行政が観光について、産業振興という視点を明確にして取り組んでおられます。これらは、中山間地域、離島のモデルとなるところがあると考えております。

次に、島根県内の観光振興の課題についてであります。

主なもので申し上げますと、まず県全体としては、全国的に誘客競争が激しさを増している中にあって、観光地島根としての特徴を打ち出し、持続的に観光客の増加につなげるため、そうした観光地づくりとともに、島根を印象づける情報発信の強化が必要です。各地域では、来訪された方々に満足していただき、リピートにつながるよう、魅力的な観光素材の創出や、おもてなしの向上、あるいは地域の観光事業者の皆様の育成も重要です。

また、今後伸びしろのある市場に積極的にチャレンジすることも課題であります。例えば、企業の研修旅行や大規模な会議などのビジネス旅行、あるいは児童生徒を対象とした教育旅行、また急速に拡大が見込まれますアジアを始めとしたインバウンドにも積極的に取り組む必要があると考えております。

3つ目は、観光振興計画の策定についてです。

観光振興に関する施策は、しまね観光立県条例に示された方向性を基本とし、県総合発展計画の第2次実施計画において、観光地づくりと情報発信という大きな2つの柱を掲げ、それぞれに幾つかの取り組みの方向を定めるとともに、観光入り込み客数、宿泊客数、観光消費額を目標値として実施しております。

この計画に沿ったさらに具体的な目標や事業案は、毎年の予算編成などにあわせて、積極的に策定や見直しを行っております。この際、次のような観光に関連するさまざまな事柄のスピードのある動きや変化を注視、調査しながら、機動的、柔軟に対応することを目指しております。

その内容を少し紹介しますと、まず県内の民間事業者の動向や業況。次に、大都市部など観光市場の動向。次に、競争が激化しています他地域や自治体の取り組み。そのほか、関連が強い旅行会社や運輸機関の展開や、マスメディア、SNSなどのコミュニケーションツールによる流行の広がりなどであると思っております。これらは、1年と言わず、半年、3カ月で変化をしていくものでございます。

一方で、事業の方向性や結果、成果などについては、県民の皆様に詳しく説明する必要があります。ホームページや広報紙といった媒体や、予算編成、決算に伴う行政評価などにより、丁寧に説明してまいります。

議員からお話のありました総合的な計画は、商工労働部でも、雇用対策などの事業実施が県庁各部や商工団体に広く関係する事柄では策定して包括的な運営管理もしておりますが、観光については、お答えしましたように、総合発展計画をもとに、さまざまな環境の変化やスピードに対応しつつ、予算編成などを通して詳細な事業を策定、見直しをするという方法を当面はとってまいります。以上であります。

 

 

5.中山間地域、離島における買い物弱者を対象とした宅配・移動販売サービスの現状と課題について

(かもと)

 

島根県においては、昨年平成24年3月に新たに島根県中山間地域活性化計画が策定されました。「にぎわい」、「生きがい」、「なりわい」、「助けあい」をキーワードに産業の振興や生活サービスの維持確保など中山間地域の課題に引き続き取り組むとともに、少子高齢化の進行により小さな集落単位では地域の運営や維持管理が困難になる状況を踏まえ、公民館等のより広い単位で地域を支えていく新たな地域運営の仕組みの普及を進めていくとしております。その中で、買い物弱者に対しては、中山間地域の高齢者の日常生活を支えるため、買い物支援、見守り、交通などの総合的な生活サポート体制整備を部局連携で行うとしています。

また、県議会においては「地域の維持活性化に積極的に取り組む地域がある一方で、中山間地域の人口減少、高齢化率の上昇、若年者比率の低下に歯止めがかかっておらず、医療、商業など生活に必要なサービスも低下が進んでおり、もう2年もすると中山間地域を支えてきた「昭和ひとけた世代」が皆80代に達する。『もう待ったなし』の状況に来ている」という認識から、中山間地域・離島振興特別委員会の取りまとめが平成25年2月定例会で委員長報告として提出されたところであります。

その中で8項目の要望事項の一つとして、「お年寄りにやさしい助け合いの創出」と題して「買い物バス、移動販売、通院バス等の買い物不便対策や交通空白地域解消に向けた条件整備について引き続き支援すること」を提出しています。

① 中山間地域、離島における買い物弱者を対象とした宅配・移動販売サービスの民間、行政の取り組みの現状と今後の取り組みの方向性について伺います。

 

 

(地域振興部長)

私のほうからは、中山間地域、離島における宅配、移動販売サービスの現状と今後の方向性についてお答えをいたします。

まず、民間の取り組みの現状ですが、平成24年度、県が実施しました商業機能実態調査によりますと、中山間地域での食料品及び日用品の移動販売、宅配を行う事業者は、移動販売が65事業者、宅配が39事業者となっています。そのほか、大手流通グループでインターネットを使った宅配サービスが全県を対象に開始されております。また、隠岐の島町や益田市美都町、匹見町では、老人会や商工会といった地域の団体が店舗と連携し、集会所での出張販売や受注集荷配達を行うなどの取り組みも始まっています。

行政の取り組みとしては、県は買い物支援対策として、市町村を通じて地域の各種団体や中小企業者の取り組みに対し、助成制度を設けています。平成24年度には、雲南市や西ノ島町の移動販売車の整備など、5件を支援いたしました。また、今年度においては、海士町の買い物代行サービスについて支援を実施いたします。

今後の取り組みについてですが、地域の既存店舗や移動手段の状況など、各地域の環境はさまざまであり、その地域の実情に合った取り組みが必要であると考えます。商工団体と協力して実施している買い物弱者の実態調査なども踏まえ、しっかりと地域の実態を分析し、住民のニーズや事業者の声なども丁寧に聞きながら、実情に即した支援を行ってまいります。

6.中山間地域における農地整備について

(かもと)

最後に中山間地域における農地整備について伺います。

島根県においては、優良な農地、農業の担い手の確保を行い、将来を見据えた安定的な食糧生産、基幹産業としての農業の環境整備に努力されています。ほ場整備はその大きな柱の一つです。優良な農地をつくり、コスト削減など効率的な農業、高付加価値の農業を進め、労働負荷を軽減し、農地の集約化、担い手育成・確保も同時に進めていくことができます。島根県ではほ場整備を着実に進めていますが、平成22年度実績で、1区画30a以上に整備された水田は全国平均62.1%に対し、島根県44.8%であり、まだ遅れた状況であるということであります。

財政状況の厳しい中で引き続き粘り強い取り組みが求められますが、中山間地域の農地整備もとても重要であります。中山間地域の担い手のいない集落では、高齢農家が営農を断念すれば、耕作放棄地が発生します。農地としての生産がストップするだけでなく、耕作放棄地が増えていけば、中山間地域の農村風景、日本の原風景がそこなわれます。また、農地の洪水防止機能、土砂崩壊防止機能、土壌侵食防止機能、河川流況の安定機能も失われ、大雨災害などにも脆弱な地域を島根県がより多く抱えていかなければならないということになります。また、中山間地域の農地が失われていけば、水質浄化機能も失われ、島根のきれいな水がおびやかされる可能性も危惧されます。

私が心配しておりますのは、これまで中山間地域の農業を支えるためにほ場整備を進めてきた施設が老朽化を迎えているということであります。

① これまで中山間地域でほ場整備が実施されてきましたが、当該ほ場の老朽化の状況について伺います。

平成22年度の国の農業農村整備事業の予算が前年度比約60%減という大幅削減を受け、3年間同レベルの予算が続きました。今年度は平成21年度レベルに戻りました。こうした予算が県や市町村の予算及び多角的な支援とあいまって、農家・営農主体のニーズにきめ細かく対応できるよう望むものでありますが、

② 中山間地域の老朽化したほ場や農業水利施設の再整備、農作業の作業性、安全性の向上等のために農業基盤整備促進事業が実施されています。同事業に対する地域の受け止め方を伺います。

また、

③ 中山間地域のほ場条件を改善するとともに、担い手へのほ場の集積を促進するために、中山間地域総合整備事業や農地環境整備事業でほ場整備を行う場合に、集積の度合いに応じて農地集積促進費が交付されています。この農地集積促進費に対する地域の期待について伺います。

以上、具体的なご答弁をお願いします。

 

 

(農林水産部長)

圃場整備の関係でございます。

3つお尋ねがございました。

1点目、中山間地域の圃場の老朽化の状況についてお答えいたします。

圃場の関連施設が適切に機能を発揮できますのは、暗渠排水施設でおおむね20年、用排水路でおおむね30年、このようなぐあいになっております。これまで、中山間地域で圃場整備した面積の約8割に当たります1万3,000ヘクタール、これには1区画30アール未満のものも含むわけでございますけれども、この1万3,000ヘクタールにつきましては、今から25年以上前になります昭和の時代に整備されたものでございまして、老朽化が進み、さまざまな機能低下が生じている状況でございます。

具体的には、圃場の排水性が悪化いたしまして、農業機械がはまりやすくなるといったことでございますとか、用水路から漏水をして、必要な農業用水が確保しにくくなるというようなことが生じておりまして、農作業に支障を生ずるような事態が発生しておるところでございます。

このため県といたしましては、老朽化した圃場を引き続き有効に活用していくために、施設の補強でございますとか更新等を計画的に進めてまいりたいというふうに考えております。

次に、農業基盤整備促進事業に対する地域の受けとめ方について御質問がございました。

この事業は、国の平成24年度補正予算で創設された事業でございまして、老朽化した圃場や農業水利施設の再整備を行うものでございます。この事業では、受益面積の要件が課されていないといったことから、農家のニーズに沿ったきめ細やかな基盤整備をスピーディーに展開していくことが可能となっておりまして、地域から使い勝手のいい事業であるというふうに評価されておりまして、農家のニーズも高いというふうに認識しております。

しかしながら、現在、この事業の地元の市町村でございますとか、農家の方の負担割合が総事業費の3割ということで、ほかの事業に比べて高くなっとりますものですから、市長会や町村会といったところから、地元負担の軽減ということを要望されているところでございます。

このような状況を踏まえまして、今後どのような対応が可能か、よく検討してまいりたいというふうに考えております。

最後に、農地集積促進費について、地域の期待はどうかという御質問がございました。

農地集積促進費は、圃場整備にあわせて、担い手に農地集積を行った場合に、農家負担を軽減することによりまして、農地の機能向上や担い手への農地集積というものを促進するものでございます。このうち、平場地域が中心となる大規模な圃場整備事業では、国の促進費制度を活用して、実質的に農家負担なしで圃場整備を実施している地区もございます。

他方で、中山間地域で行う比較的規模が小さい圃場整備事業につきましては、国の促進費制度がないものでございますから、県の単独事業で促進費を交付してきました。平成25年度には、農地集積度合いに応じまして、交付率のかさ上げを行うことによりまして、中山間地域でも農家負担を実質的にゼロにできるように制度を拡充したところでございます。

この拡充を契機といたしまして、これまで圃場整備をためらっていた地域において圃場整備に向けた話し合いが開始されておりまして、この促進費に対する地域の期待というものは大きいものがあるというふうに受けとめています。県といたしましては、この促進費の一層の周知を図りまして、中山間地域における圃場整備と担い手への農地集積を促進し、県内での担い手の確保育成に努めていきたいというふうに考えております。以上でございます。

 

 

 

 

以上

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